「働き方改革」という言葉が出てきたときには、すでに遅い

「働き方改革」という言葉が出てきたときには、すでに遅い——。

昨今話題のテーマを挙げ、働き方を変えるのではなく、働くことの根本、組織の体質を変えなければ解決にならないと話してくれたのは、『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』を上梓したピョートル・フェリークス・グジバチさん。

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2017.4.9、まだ寒さが残る渋谷。ひさしぶりの雨をくぐって道玄坂を上がっていくと、BOOK LAB TOKYOが左手に見えてくる。コーヒーや軽食とともに本を楽しめるオープンな空間だ。

5年半で300回近く開催してきた当読書会だが、書店の一角をお借りしての開催は、今回が初。たまたま居合わせた人々にも、グジバチさんの話に聞き入る様子が見受けられた。

グジバチさんは、かつてグーグル日本法人で人材や組織の開発に携わり、シリコンバレーへ移ることを打診されて退職した経歴を持っている。本書はグーグルでの経験をもとに書かれた。

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外資系の仕事術は注目を集める反面、日本の実情にはマッチしないこともある。

グジバチさんは冒頭「これは仕事『術』の本ではない。売れている本を見ても、日本人は術に頼りすぎている。術も大切だが、マインドセットを変えることが大切」と切り出した。

メールでのコミュニケーションには、ムダが多い。Googleドキュメントのようなテクノロジーを活用して、みんなで同時に仕事を進めたり、チャットなどを有効活用したりすることで、結果の出かたは違ってくる。

これは簡単なように見えて、企業のピラミッド組織で仕事をしていると、案外難しいものだ。ルールだ、セキュリティだ、コンプライアンスだと、制約の理由に事欠かない。

「ピラミッドはお墓だよね?」と問題提起し、「グーグルだからできるんでしょう?」と口をつくマインドがはびこる日本の将来を危惧した。トヨタなどに匹敵する価値の企業が、わずか2年ほどで誕生する可能性がある時代。デジタルによって登場する破壊的技術への対応力を懸念してのことだ。

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後半はグループディスカッションと質疑応答。普段の仕事で感じている違和感や危機感、就職活動での悩みに対して、活発なやりとりが行われ、予定していた時間を超えて盛り上がった。

日本に17年住み、日本の企業事情も考慮したうえで、「空気を読んで、空気を壊そう」「固定観念は疑おう」と、まず自分でできることを始めようと促す。

「何がしたいのか、どんな世界を見たいのか。それをどう実現するかが、働き方につながってくる」

グジバチさんは、そう締めくくってマイクを置いた。

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