向こうから舞い込んできた話はひとつもなくて、
全部自分から仕掛けて、叶えてきました。
こう話すのは『ダメOLの私が起業して1年で3億円手に入れた方法』(講談社)の著者・成井五久実さん。28歳で夢だった起業をはたし、1年で事業を売却。そして、今や大手PR会社ベクトルグループの子会社、スマートメディアの代表取締役社長です。
2018年8月26日、会場となった渋谷・道玄坂にあるBOOK LAB TOKYOには、話題の女性起業家に会える貴重な機会とあって、11時の開始前からたくさんの人が集まっていました。
この本は女性向けに書かれたにもかかわらず、参加者の3〜4割は男性。年齢層も幅広く、多くの人たちに支持されているようです。実際、Twitter上では『ダメ億』の愛称で拡散されており、発売から3ヶ月で重版も決まったとのこと。
冒頭の言葉の通り、成井さんは学生時代から「起業」という目標に向けて、自らアクションを起こしてきました。その中でトライ&エラーを繰り返し、軌道修正し続けることで、20代での起業や、『ダメ億』の出版といった自分の夢を叶えてきたといいます。
★大きな失敗も、次に進むチャンスに変える
読書会の前半では、いかにして自らのキャリアを築き、目標を達成してきたか、その分岐点となった5つのエピソードを紹介していただきました。
20代で起業したと聞けば、つねに順風満帆な人生だったように見えますが、社会人生活をスタートさせたDeNAでは仕事で大きなミスを犯し、新卒入社初となる減給処分を受けることに。それまでの自信をすべて失ってしまうほどの大失敗をされたそうです。
しかし、そのような状況でも、俯いてとどまるのではなく、前を見据え、新たなフィールドに転職をはたします。それができたのは、目標を見失わずに、「いつまでに、どんなスキルが欲しいのか。それを手に入れるために、自分は何をすべきなのか」を、逆算して考え続けた結果だといいます。
自分にとってマイナスな出来事もプラスに変えていく。そんなポジティブな考え方も、目標を叶える素養のひとつだと感じました。
・「売るものは商品ではなく自分」
・「To doリストをやり切ることで、失っていた自信を取り戻す」
・「小さな賞でもSNSに投稿して、周りの評価を変えていく」
・「夢は上司や友人に公言し、自分のキャリアをつくっていく」
・「どんなことでもいいので、自分のスキルをお金に変えてみる」 など・・・
つねに“ちょっとの背伸び”をすることで、望むキャリアを実現してきた成井さん。その体験から学び得たさまざまなメッセージは、どれも説得力がありました。参加者のみなさんも忘れないように、気になる言葉はPCやノートにメモをとられていたようです。
「戦略的飲み会術」「精神的枕営業を仕掛ける」など、書籍には自分の夢を叶えるための具体的なアクションが、成井さん自身のエピソードとともに赤裸々に綴られています。読書会においても、書籍に掲載できなかったぶっちゃけ話が数々飛び出し、大いに盛り上がりました。
「今は起業から最短でIPO(株式上場)という夢に向かって、頑張っています」と、いきいきと話される成井さんの姿がとても印象的でした。
そして、1つの頂きを登れば、また次の高い頂きが見えてくる。
それを達成するために、今も必要なスキル・経験を積み、周りに「IPO」という新たな夢を共有し、応援してくれるファンを増やしているといいます。
★著者が親身になって寄り添い、悩み事に応えてくれる
後半では、成井さんへの質問コーナーが設けられました。みなさん質問したくてうずうずされていたのか、たくさんの手が挙がり、予定時間がオーバーするほど白熱しました。
参加者と成井さんとの質疑応答をいくつか紹介します。
自分に合った働き方を模索している大学4年生の女性の方からの質問
Q「就活をしないで、自分らしい生き方や働き方を探しているところです。成井さんは新しいことをするときには、どのように向き合ったのでしょうか?」
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A「私の場合は、迷ったらやろうと決めています。だから、今すぐにできないことでも見切り発車で始めることが多いですね。やらないことでの後悔よりも、やって失敗したときの後悔のほうが気持ちがいいですから。得てきた経験は必ず自分の自信につながっていくので、最初の一歩は、ぜひ前のめりに手を挙げてみてください。オススメします!」
管理職に従事している40代の男性の方からの質問
Q「成井さんのような高い意識をもった社員を育成するのは難しいと感じていますが、社員のマネジメントでは、どのようなことを意識されているのでしょうか?」
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A「私も経験がありますが、マイクロマネジメントをすると社員が萎縮してしまって、なかなかいい結果が出せません。今20代で成果をあげている社長を見ると、結果をしっかり把握するだけでいいように思います。あとは採用するときに、その人の目指したいキャリアの延長線上に、この仕事があるかどうかは確認するようにしています。そうすれば、今の仕事で結果を出すことが、自分の夢に近づくことにもなるので、本人もストレスなく頑張れるはずです」
起業を目指している20代の女性の方からの質問
Q「自分でサービスをつくっていて、将来的にはそれを世の中に広めたいと思っています。男性に出資をお願いするときに気を付けたほうがいいことはありますか?」
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A「まず最初に、『資金調達の方法が知りたいので』『あなたに出資して欲しいので』など、相手にお会いしたい目的を伝えることが大事だと思います。ただ「飲みましょう」というのは絶対にダメです!
そしてお会いしたら、自分の実現したい夢や、その夢を叶えたいという気持ちを相手にぶつけることです。そうすれば、応援者になってくれる確度がぐっと高まります。飲み会が終わったら、お礼メッセージを必ず自分から送ること。それも、クライアント向けのビジネス形式がベストです。ぜひ起業、頑張ってください!」
成井さんは、現在社長業と並行して、キャリアカウンセリングなども行っているだけあって、世代や立場の異なる人たちにもしっかりと向き合い、気づきとなるようなアドバイスをされていました。
イベント終了後も、直接お話ししたいという参加者一人ひとりに、時にはじっくり話を聞き、時には励ましの言葉をかけ、勇気づけていた成井さん。
目標を持つことはもちろんですが、それと同じくらい大切なのが「目標に向かってアクションを起こす」こと。その重要性を改めて感じる、よい機会になりました。
(文・西谷 忠和)