2019年5月19日 渋谷のBOOK LAB TOKYOにて、松本利明さんのワークショップが開催されました。今回は、自分の持ち味から「自分軸」を見極めて市場価値をつくり、これからの時代に活かすキャリア戦略についてです。
松本さんは、PwC、マーサー、アクセンチュアなどの大手外資系コンサルティング会社で25年以上「人事」や「働き方」改革のコンサルティングをしてきました。5万人のリストラと6500名以上の次世代リーダーや幹部の選抜・育成に関わってきました。
そんな松本さんの、先月発行された著書『「いつでも転職できる」を武器にする -市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』を教材に、何歳になっても不安が付きまとう転職を打開する方法、すなわち『いつでも転職できる「転職力」』についてお話しいただきました。
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まず、松本さんは、どうしてこの本を執筆しようと思ったのかを語られました。
「これからのキャリアの考え方を正しく伝えた本が北野唯我さんの「転職の思考法」1冊しかなく、どうしたらいいの?の問いにより具体的に答えたくて、この本を書きました。中身は外資系大企業で選抜されたリーダーを育成する方法を誰でもできるレベルに翻訳したものです。」とのこと。
昨今は変化が激しい時代であり、
・昭和: 終身雇用、年功序列が基本であり、処世術が大事だった時代。
・平成: 転職が選択肢に入り、情報によって勝ち組と負け組に分かれた時代。
という「正解」のキャリアがあった時代から、
・令和: 働く組織・就業形態・働く場所などが多様化した時代。
の、「正解を自分でつくる」時代になったと分析されました。
そこで重要なのは、自分の『持ち味』を知ることだそうです。
『持ち味』は、自分の「資質(動機・性格・価値観)」から導き出されるようで、具体的な方法として、自分がいつも他者からどんな「ありがとう」を言われるかを書き出してみることを挙げられました。例としては、
・<仕事が早くて>ありがとう
・<ミスのない正確な仕事で>ありがとう
・<みんなを引っ張ってくれて>ありがとう
など、人によって得られる「ありがとう」の声は違うため、その声を集めると自分の『持ち味』が見えてくるのだと仰いました。
その『持ち味』をメインに、弱みやコンプレックスから生み出された「魅力」をプラスして確立したのが、自分独自のキャラクター=『自分軸』なのだそうです。
併せて、上記を活かした「大人の自己紹介」という、相手に印象に残る自己紹介を作るポイントもご教授くださいました。
次に、今後のキャリアについて考えるにあたって知っておきたいことをいくつかお話しいただきました。
『自分軸』でキャリアを考えるにあたり、キャリアは3つの視点で考えることが必要なのだそうです。
(1) 事業のライフサイクルの内、自分がフィットするフェーズは何か?
(2) 自分に合った業界・職種・会社はどこか?
の2点で自分がいるべき市場=「居場所」を決め、
(3) 「居場所」で自分のキャラで活躍し、成長する!
という図式がキャリアの成功のコツなのだと仰いました。
(1)『事業のライフサイクル』については、どの企業にも「導入」「成長」「安定」「衰退・再展開」という4フェーズがあり、各フェーズの特徴と、それぞれに求められる資質を解説してくださいました。松本さん曰く、「自分がどのフェーズに合うのかを知り、その領域の中で異動や転職をすることが成功につながります。」とのことです。
(2)『市場の見極め方』については、「業界」「職種」「会社」を基準に選ぶのがポイントだそうで、それぞれのチェックポイントをお話くださいました。
実践ワークでは、一人が他者に自己紹介と自分の持ち味を伝え、もう一人が自分の業界や仕事だったらどんな価値が出せそうかを伝える「タニキャリ」というワークを行いました。皆さん、熱心に意見交換されており、終始活気に満ち溢れていました。
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このワークショップを通して、これまでの転職は積み上げた学歴や経験などの「ストック」を活用していたのが、これからは数年先が読めない流動的な時代となり、如何に自分軸でキャリアを重ねていくかが重要なのかを感じられました。
実際、松本さんは、ワークショップ中に何度も「自分の『持ち味』に合っていることが大切です。」と熱弁されており、中でも「やりたいことや好きなことよりも自分の資質に合っていること、自分に向いていることは速く楽に爆発的に実績を出せます。」という言葉が印象的でした。
松本さんの軽快なトークと、随所に散りばめられたわかりやすい事例のおかげで、これからのキャリアについて楽しんで学べました。質疑応答もたくさんの質問で賑わい、ワークショップ後も松本さんとお話される方が大勢いらして、大盛況!のワークショップでした。
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