イーロン・マスクの野望 未来を変える天才経営者

発刊
2013年12月6日
ページ数
239ページ
読了目安
264分
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未来を変える起業家の物語
ペイパルを起業し170億円を得て、ロケット会社スペースX、電気自動車会社テスラモーターズを立ち上げた起業家イーロン・マスクの物語。人類を火星に移住させるという壮大な計画はどのように進んでいるのか。


■南アフリカから来た男
イーロン・マスクは、宇宙ロケット、電気自動車、太陽光発電の3つの先端産業で革命を起こそうと挑んでいる異色の経営者である。イーロンは、1971年に南アフリカ共和国の裕福な家庭で生まれた。10歳の時にイーロンは小遣いを貯めて、パソコンを購入し、プログラムの教科書を手に入れ、独学でマスターしていった。12歳の時には、ソフトウェアゲームソフトを作り上げて500ドルで販売している。

17歳になるとイーロンは母親の親戚が住むカナダに1人で渡り、クイーンズ大学で学ぶ。そして、ペンシルバニア大学に奨学金を得て編集する。そこで熱中したのが物理学だった。1995年、イーロンはスタンフォード大学の大学院に入ると、まわりはインターネットブームに沸いていた。イーロンはスタンフォード大学を2日で辞めると、弟とオンラインコンテンツの出版ソフト制作会社「Zip2」を創業する。そして、このZip2をコンパック社にのちに3億ドルで売却し、これにより約2200万ドルを手に入れた。次に「Xドットコム」という会社を創業した。この会社は、インターネットの決済サービスを提供していた。

NASAがやらなきゃ、オレがやる

ライバル関係にあったコンフィニティ社とXドットコム社が、2000年に合体してできたインターネット電子決済サービス会社が「ペイパル社」である。そして、eBayがペイパル社を15億ドルで買い取った事で共同創業者だったイーロンは約1億7000万ドルの資産を手にする。それを元手に宇宙ロケット企業「スペースX」を2002年に創業した。

世の中には巨額の資金がないと参入すらできない業種が存在する。その代表格が宇宙ロケットビジネスだ。イーロンは、なぜそんな宇宙ロケットの世界に足を踏み入れたのか。2002年、イーロンは大学時代からの友人に「ペイパルのあとは何をするんだ?」と何気なく尋ねられた。イーロンは「宇宙にはずっと前から興味はあったんだ」と呟き返した。宇宙ロケット開発はカネはかかるし複雑でややこしい。しかし、2人は揃って「でも、人類が火星に行くのは間違いない」と盛り上がった。「じゃあ、何で人類はこれまで火星に人を送らなかったんだ?」。イーロンはNASAのサイトをチェックしたが、火星については何も書いてなかった。宇宙ロケットのコストがあまりに高い事こそが、火星へ人を送り込む事を捨てた原因だった。ならば、「火星ロケットを自分で作ればいいじゃないか」とイーロンは意を決した。

ロケット開発を目指したイーロンの最初の一歩は「ロケットの材質は何からできているか?」という疑問から始まった。答えは、航空宇宙用のアルミ合金、チタン、銅、炭素繊維である。次に「これらの材料は市場価格はどのくらいか?」。辿り着いた答えは、ロケットの材料コストは開発全体のコストのたった2%だということ。この値は、他の機械製品と比べ物にならないほど低い数値で、例えばテスラ社の自動車なら20〜25%、パソコンに至っては90%が業界の常識だ。ここから「ロケットの総コストは下げられるんだ」という確信を得た。

不可能を可能にする

イーロンはスペースX社のメンバーと同社の初の宇宙ロケット「ファルコン1」の開発に着手していく。そこには「人類を火星に移住させる」という壮大な信念が宿っていた。しかし、挑戦と成果の間には過酷な試練が待っている。ファルコン1は2006年から三度の打ち上げに失敗し、2008年4度目にして打ち上げに成功した。これまでに費やしたコストの総額は1億ドルだった。

イーロンが「スペースX」を立ち上げ宇宙ロケット開発に参入した時、多くのロケット専門家や航空宇宙評論家たちは「不可能だ」と切って捨てた。しかし、イーロンの宇宙挑戦は「不可能だという大人たち」との戦いだった。

イーロンたちはファルコン1の打ち上げ価格を670万ドルと発表し、世界中を仰天させた。これは従来のロケットより劇的に安かった。量産化の考えを持ち込み、コモディティ化を図ったのだ。

 

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