おじさんになっても

発刊
2026年8月21日
ページ数
208ページ
読了目安
158分
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嫌われないための「おじさんの作法」
渋谷にあるバーの店主が、長年カウンターから様々な人を見てきた知見をもとに「嫌われるおじさん」と「おじさんならではの価値」について書いた一冊。

おじさんが自覚しづらい痛い話から、年齢を重ねたからこそできることなど、50代以降にどのように生きていくのが良いのかが綴られています。嫌われずに、世の中にためになるおじさんを目指すための指南書的な内容になっています。

自分らしさとは

50代になっても60代になっても「自分らしさ、個性」で勝負していくしかない。この「自分らしさ、個性」は「その人間の不完全さ。能力の欠けた具合」のこと。

「自分探し」をしても、よほどオリジナリティがない限り「自分だけの生き方」を自分で手探りで見つけるのは難しい。やはり「こんな人みたいになりたい」というロールモデルを持った方がいい。それでも、本当にその人と同じにはなれない。そのズレこそが、ある意味で「自分らしさ」である。

 

誰かの生き方を真似して、あんな風になろうと頑張っている内に、少しだけその人に近づいて、少しだけ自分らしくなれる。いい年齢になってくると、自分の能力の限界が見えてくる。自分は不完全であるということに気づいていく。それが「自分らしさ、個性」である。

 

おじさんが嫌われる3つのパターン

バーのカウンターで、若い人に聞いた「おじさんの嫌われる昔話」の特徴は3つある。

①「あれ俺がやったんだよ」

本当にすごい人は、アピールしなくても、周りはみんな知っている。キムタクが飲み屋でSMAPにいたことを自慢したりしない。昔の小さな「あれ俺」を言い続けるのはみっともない。

 

②「昔こんなのがあったけど知らないでしょ?」

1980年代は40年以上前のこと。おじさんから1980年代のテクノカットやディスコブームの話を聞かされるのは、若い人たちからすると、おじさんが上の世代から太平洋戦争の防空壕や焼夷弾の話を聞かされるのと、同じ時代感覚である。昭和は遠い昔のことで、平成ですら過去の歴史になりつつある。話す側が「これは若い人からすると歴史の話なんだ」とわかっていることが大事である。

 

③「あの頃は良かった」

「あの時代が良かった」こともあれば「現代の方が良い」こともある。どの時代にも、どの世代にも、その人たちならではの楽しさがある。若い人たちは、インターネットがなかった世界をリアルに想像できないから、「昔は良かった」という話は、彼らにはただつまらない。

 

若い人に受けるおじさんの4つの話

若い人が面白いと思ってくれる昔話は以下の4つ。

①苦労話

ひたすら悲惨な話は聞いている方も辛いが、社会人経験の長い人が苦労した話は、若い人は大抵聞いてくれる。

 

②失敗話

失恋話や仕事上での失敗話などは、意外と若い人は好きなようである。

 

③時代と関わっていた話

若者がつまらないと感じる昔話の1つに「たまたまその時代のそこにいただけ」という一般的な話がある。それより若者が興味を持って聞くのは、その人が固有で本当に時代に関わった話である。

 

④具体的なお金と社会の仕組みにどうやって対応してきたかという話

例えば「バーを開店するのにいくらくらいかかって、どういう風に進めたか」という話。年齢と経験を重ねたからこそ話せる、社会の仕組みやお金の具体的な話は、昔話であっても、多くの若者が興味津々で聞いてくれる。

 

歳を重ねたからこそできること

①トラブルを収める

場数を踏んでいること、プライドや意地がどこに引っ掛かっているかをその場で読む力、お互いが「この人が言うなら仕方ない」と感じさせる存在感。これらが揃ってはじめて仲裁ができる。これは、年の功としか言いようがないものである。

仲裁でなくても、若い人が大きなミスをしたりした時に、凹んでいる若者に、自分がミスした時の話をしてもいいし、一緒に火消しを手伝ってもいい。おじさんがこの世の中でできることには、トラブルを収めること。仲裁に入る、トラブルを未然に防ぐ、経験を語る、一緒に火消しに回るなど、できることはたくさんある。

 

②席をゆずる

若い頃から努力して、ある程度の地位や権力を手に入れたとしたら、それをどう使うかが、おじさんの真価である。おじさんが本当にすべきことは、次の世代をつくることである。自分にはない才能を持つ若い人を見つけたら、引っ張り上げて、新しい席を用意してあげる。時には自分が座っている席をゆずることも必要である。