リ・インベンション: 概念のブレークスルーをどう生み出すか

発刊
2013年3月15日
ページ数
285ページ
読了目安
406分
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次元の異なる製品はどのようにすれば生み出せるのか
成熟期の日本では、イノベーションは必ずしも有効ではないと説き、新しく価値を発明する「リ・インベンション」の考え方を提唱。ネスプレッソやダイソンの羽根のない扇風機など、9つの事例を挙げ、他社の真似できない製品づくりのヒントを紹介しています。


■イノベーションは空しい
イノベーションに成功すれば、消費者を満足させた上で、企業も利益を得られる。そう信じて日本の製造業各社はイノベーションに邁進してきた。しかし現実を見ると、消費者の生活は豊かになったが、肝心の企業は必ずしも利益を上げるに至っていない。高い技術力を活かした各社の製品は、いずれも努力が報われない結果に終わっている。そのパターンは2つある。

①イノベーションで生まれた製品が消費者に受け入れられなかった
ex.ソニーのデジタルマイクロレコーダー:開発に11年かかるも4万台で生産終了

②好意的に受け入れられたものの企業側の利益には結びついていない
ex.カシオのコンパクトカメラ:平均単価が年々大きく下落

日本が苦境を脱する上で、イノベーションに解がなかった事は歴然としている。

イノベーションは必ずしも有効と言えない

問題の一端は、イノベーションの構造にある。例えば、液晶テレビは、偏光板、カラーフィルター、液晶配向膜、導光板、バックライトなどの部品からできている。そして、液晶テレビの性能を飛躍的に引き上げたのは、これら部品だった。

イノベーションの背後には汎用部材技術、または装置の進歩が控えている。だから、同業他社や新規参入者もイノベーションの源泉にアクセスできてしまう。そうなると、いくら発売当初に最高スペックを誇っていようと、競合他社がキャッチアップしてくるのは時間の問題で、横並びの同質競争に陥ってしまう。いくらイノベーションに成功したと言っても、その成果を独り占めにする訳にはいかないのだ。

メーカーは「いいものを作れば売れる」とイノベーションに突き進んできたが、その前提は正しいのか。技術者は「いいもの」をパラメーターに置き換えて数値競争を演じるが、本当に測りやすい数字を追いかける事が買い手のためになるのか。消費者は、あっという間に高性能に慣れたり、飽きてしまい、さらなる性能の向上には見向きもしなくなってしまう。

戦後から40年以上が経過すると、現存する製品カテゴリーのほとんどで普及率が8割を超え、購入経験を積んだ買換層が市場を構成するに至る。この層は、単純に性能向上や多機能化を謳っても、容易に飛びついてくれない。

リ・インベンション

成熟期に入った日本において、企業は新しい価値基準を打ち立てなくてはならない。具体的には、身の回りにある製品のコンセプトを見つめ直す。つまり「誰に、何を、どのように提供するものなのか」を改訂する。このうちのいずれかを大きく変えて、従来の製品を規定するパラメーターと訣別する事が「リ・インベンション」に他ならない。

リ・インベンションは「ある製品について、今となっては解消できるようになったにもかかわらず放置されている不合理や、かつては合理だったものの中に新たに芽生えた不合理を解消すべく、当該製品を特徴づけると長らく考えられてきた特性パラメーターを無視して、誰に、何を、どのように提供すべきものなのかにまで立ち返り、評価軸自体を作り替えること」と定義される。

リ・インベンションが泥沼の競争から抜け出す手段となりうるのは、消費者の共感を生むからである。その共感は「インテグリティ(全体として1つにまとまった状態)」から生まれる。インテグリティを実現する製品企画の要点は3つ。

①標的探索
成熟期や衰退期にある製品で、最新の技術を使う事で、ユーザビリティを劇的に引き上げる方法があるかを問う。

②創意工夫
従来はコアユーザーと目されていなかった層に焦点を当て、本質機能から遠く離れた副次機能を見つめてみる。

③十分条件
製品の隅から隅まで理想を貫く。

 

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