マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則

発刊
2001年12月14日
ページ数
302ページ
読了目安
489分
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現代経営学のバイブル
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の元になった経営学の古典。

マネジメントの仕事とは「成果を出すことである」と規定する。そのためにマネジメントが果たすべき使命と役割、取り組むべき仕事、さらには中長期的に考えるべき戦略について、解説している。

マネジメントの3つの役割

企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは、自らの機能を果たすことで、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。
組織は、目的ではなく手段である。よって、問題となるのは「その組織は何をなすべきか」である。
それら組織の中核の機関がマネジメントである。「マネジメントの役割は何か」は、以下の通り定義される。

①自らの組織に特有の使命を果たす。
②仕事を通じて働く人たちを生かす。
③社会の問題について貢献する。

企業とは何か

企業の目的は社会にある。それは、顧客を創造することである。市場をつくるのは、神や自然や経済的な力ではなく企業である。すでに欲求が感じられているところへ、その欲求を満足させる手段を提供する。

企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意志を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。従って、企業は、以下の2つの機能を持ち、それが成果をもたらす。

①マーケティング:「顧客は何を買いたいか」を問う。
②イノベーション:新しい満足を生み出す。より良い製品やサービスを供給する。

企業が目的と使命を果たすには、「われわれの事業は何か」を顧客と市場の観点から問わなければならない。そして、「顧客とは誰か」という問いの答えによって、事業の定義が決まる。顧客には消費者だけでなく、中間業者なども該当する。

「われわれの事業は何か、何になるか、何であるべきか」を決定すれば、それを目標に具体化しなければならない。そして、目標は実行に移さなければ目標ではない。夢にすぎない。

人こそ最大の資産である

マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない。そのためには、働く者の満足と生産性の両立が必要である。

仕事の生産性を向上させるには、基本的なこととして、仕事のアウトプットを中心に考える必要がある。技能や知識は、あくまで道具である。

働く者の満足にとって、重要なことは「やりがいのある仕事」である。働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、以下の3点が必要である。

①生産的な仕事
②フィードバック情報
③継続学習

社会的責任

故意であろうとなかろうと、組織自らが社会に与える影響については責任がある。社会に与える影響については、組織の目的や使命の達成に不可欠でないものは、最小限にする。
そして、企業が責任を要求された時は、必ずそれについて「権限を持っているか、持つべきか」を自問する必要がある。組織が果たすべき最大の社会的責任とは、自らに特有の機能を果たすことである。