5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?

発刊
2013年7月19日
ページ数
204ページ
読了目安
231分
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これから日本のメディア業界は生き残れるか
紙からウェブの時代になった米国メディア業界は、これまでのように稼げなくなり、大きな変化にさらされている。この変化の波は、日本のメディア業界にも必ずやってくるという。

米国メディア業界がウェブメディアで稼ぐために行なっている改革を紹介しながら、日本の今後のメディアの生き残り策を考える。


■米国メディア界の大激震
テクノロジーのさらなる進化は、単にメディアを「紙」から「ウェブ」へ置き換えるだけでなく、メディア業界の形そのものを一変させる。

2012年末、米国を代表するニュース週刊誌『ニューズウィーク』が紙での発行を終了、オンライン版のみでの展開へ切り替えた。2005年に約300万部あった部数は、2012年までにほぼ半減。広告ページ数も8割減となり、近年の赤字は年間約4000万ドルにまで膨らんでいた。

過去10年間、米国メディア界は、インターネットの浸透による部数減、リーマンショックに伴う広告減、スマホやタブレットの普及といった大激震に見舞われた。新聞社の広告収入は過去5年間に半分以下に落ち込み、フルタイム職員数は、2000年の5.6万人から、2012年には4万人にまで減少した。大きな流れとして、米国で起きた事は、今後日本でも起こる。

ウェブメディアでどう稼ぐか

どうすればジャーナリズムはウェブ時代にも生き残れるのか。そのために一番大事なのは「稼ぎ」である。

メディアが「紙」から「ウェブ」へシフトしていくにつれ、稼ぎ方はどう変わっていくか。収益の柱となるのは、広告収入と有料課金収入である。しかし、ウェブ広告は、紙に比べて競争が激しいため広告単価が低く、成長力にもかげりが見えてきている。

儲けるため仕組みは自ら創り出すしかない。そのための打開策が「データ志向の徹底」と「広告を面白くする」である。読者を会員登録へと誘い、基本的な属性情報を収集する。その膨大なデータを分析し、マーケティングに活かす事で、記事や広告のマッチング精度を向上させる。さらに大事な事は、広告主がおカネを出したくなるような、面白い広告を創る力を高める事に全力を注ぐべきである。媒体力があり、広告の企画力に優れたメディアであれば、ウェブメディアの世界でも高い価格で広告が売れていく。

ブランドコンテンツが有望

その切り札となりうるのが「ブランドコンテンツ」である。スポンサー広告とも呼ばれるこの商品は、企業がつくったコンテンツを、ウェブメディア上に掲載するサービスである。一般的な記事広告と違い、記事の内容がコンテンツ仕立てであり、会社の商品やサービスの宣伝がほとんど含まれない。米国のネット広告市場での成長力はピカイチで、既にフォーブス、アトランティック、ワシントン・ポストなどのメディアが参入し、投資を進めている。従来型広告の効果が弱まるにつれて、企業が自社発のコンテンツ作成に注力する流れは強まるだろう。

有料課金を成功させるための条件

広告は景気の波に左右されやすいため収入が安定しない。さらに収益には限界がある。従って、健全なジャーナリズムを守るためには、広告以外の収入源が必要になる。その本命が有料課金である。米国では「メーター制」による有料課金が大ブームになっている。一定数の記事は無料で見せて、一定数を超えると課金するという、フリーミアムモデルである。但し、有料化を成功させるには3つの条件がある。

①媒体が経済系かエリート(高所得者)系かデータ系である
人はビジネスや投資に役立つ経済系のニュースには、おカネを払う傾向がある。さらにB2Bにも強い。

②紙で築き上げたブランド力を持っている
ウェブ単体のメディアでは、あまり成功例が見つからない。

③無料サイトとしての圧倒的な実績がある
幅広い読者層を獲得しない事には、課金のベースとなるパイ自体が存在しない。

この条件で優等生に入るのが、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズと日経新聞である。

 

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