幸せな未来は「ゲーム」が創る

発刊
2011年10月7日
ページ数
542ページ
読了目安
953分
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ゲームは私たちをより幸せにでき、世界を変えることができる
現実は憂鬱で平凡でつまらない一方で、ゲームはなぜか分からないけど、私たちをやる気にし、楽しませてくれる。ゲームデザイナーでもあり、ARG研究の第一人者である著者が、「幸せとは何か」「現実をより幸せにするワザ」について語ってくれる一冊。

ゲームは人を幸せにする

優れたゲームをプレイしているとき、プレイヤーは激しくゲームに集中し、ポジティブな感情を最大限まで高めるべく積極的な活動を行っている。これは、幸福の根底にある神経組織・生理組織が完全に活性化されている状態、いわゆる「フロー」の状態に身を置くことにつながっている。また、プレイヤーは困難な状況での勝利に伴う感覚「フェイロ」についても度々経験することとなる。

このような極度なまでの感情の活性化こそが、今日のもっとも成功したゲームで気持ちが中毒的に高揚する本質的な理由である。また、人が幸福を感じる根源的な仕組みでもある。優れたゲームには共通する4つの特徴がある。

①ゴール
達成すべき具体的な目標のこと。ゴールはプレイヤーに注意を引きつけ、目的意識を与える。

②ルール
ゴールに達する上で課せられる制約のこと。制約を加えることで、プレイヤーはまだ発見できていない方法を模索する。ルールは創造性を解き放ち、戦略的な思考を促す。

③フィードバックシステム
どこまでゴールに近づいているか、また、成果・成長を目に見えるかたちで示すこと。得点、レベル、進捗表示などの形で示される。プレイヤーはゴールに必ず到達できるという気持ちになり、また、自分の成長や他者への影響を確認できる。

④自発的な参加
ルールを理解したうえで、進んで自分の意思でゲームに参加すること。自分の意思で参加または脱会できる自由があることは、難しい課題でも安心して楽しめることを保証する。

ゲームやARG(Alternative Reality Game=代替現実)が世界を変える

優れたゲームに比べて現実は不完全で平凡で憂鬱で孤独で受け入れにくい。現実は、人を幸せにする、やる気にさせるという点では課題が多い。優れたゲームの仕組みを上手く取り入れることで、現実の課題を解決したり生活の質を向上させることが出来る。

ARGの事例「チュアウォーズ」は、家族やルームメイトがそれぞれ家事をどれだけやっているかを追跡し、家事遂行実績に応じてポイントを付与するゲーム。普段はうっとおしい家事という作業をもっと楽しく効率的にやらせる手助けをしてくれるのが特徴。このゲームを活用することで、普段家事に関心をもたない男性や子どもの家事への参加を促すことができる。

また、ARGは身近な生活の小さな問題だけではなく、ガンに治療や政治家の不祥事調査など大きな現実問題を解決することに成功している。

現実の変革のためにゲームの力を利用することに真剣に取り組むならば、より良い未来を実現することができる。