忘れる読書

発刊
2022年10月27日
ページ数
240ページ
読了目安
295分
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情報が溢れる時代に読書をする意味とは
ネット上に情報が溢れ、ほとんどの知識が検索によって調べられるようになった現代において、読書をする意味とは何か。
「持続的な教養」を身につけることを目的として、デジタル時代に必要な読書のあり方が紹介されている一冊。
読書をする意味を改めて考えさせられます。

なぜ読書をするのか

今の時代に読書をする意味は、次の3つ。

  1. 思考体力をつけるため
  2. 気づく力をつけるため
  3. 歴史の判断を学び今との差分を認識するため

 

世界に情報が氾濫し、情報を持っていること自体の価値は著しく低下した。その中で価値を生み出すのは、自分なりの「文脈」に気づき、俯瞰して情報を位置付けられる人ではないか。それが「新しい時代の教養=持続可能な教養」である。

「本」というある程度体系化されたパッケージは、持続可能な教養を身につけるために、とても適している。思考体力と気づく力は、ウェブで細切れの情報に触れているだけでは、なかなか身につかない。

 

「持続可能な教養」とは、まずは物事を「抽象化する思考」を鍛えること、次に「気づく」能力を磨くこと。抽象化はイノベーションが起きやすくなるために大切である。「抽象化する思考」を鍛えるためには、読書が向いている。読書はたくさんのレイヤーでものを考え、抽象化し、整理して脳にインプットしていくのに有効だからである。

「気づく」能力のある人こそ教養のある人である。「課題を見つける能力」と言い換えてもいい。クリエイティブな人材になるために必要な力は、点在する知識を「つないで自分のものにする」、つまり「気づく」ことである。
「気づく」スキルを伸ばしていくのにも読書が役立つ。情報を咀嚼し、深めるために本が役立つ。本というパッケージを通すと体系だった情報が一度に得られ、いいインプットになる。この時、単に多読するのではなく、ある程度俯瞰してものを見ようという目的意識を持って本を読むとよい。

 

忘れる読書

「本を読んでもなかなか知識が身に付かない」という悩みを聞くことがある。しかし、ウェブで調べれば十分な知識は、記憶しておかなくてもいい。必要な時にその都度、調べればいいからである。

これからの時代、クリエイティブであるための知的技術は、読後に自分の中に残った知識や考えをざっくりと頭に入れ、「フックがかかった状態」にしておくことである。何となくリンクが付いているような状態で頭の片隅に残しておけば、いずれ頭の中を「検索すれば」わかるからである。

 

そうするためにも、何かを読んで知識を得た時には、適度に忘れていくことが大事である。忘れていくことによって、クリエイティブな発想ができる。読書ノートやメモは取らない。本全体の10%くらいが頭に残るぐらいでちょうどいい。

 

本を手に取っても、ほとんどの本は最後まで読み通さない。大概は読んでも1割程度。チョイチョイとつまみ食いしていく「ザッピング読み」の比率が高い。そもそも本は読み通さなくてもいいし、冒頭から順を追って読む必要もない。

但し、サクッと拾い読みするのが難しい本もある。情報量が多く、1ページ単位の「情報の圧縮率」が高い本は精読する。ザッピングする本と精読する本を分ける。読み方にアクセントをつけると「自分のリズムで」本が読める。

 

読書で思考のフレームを増やす

様々な文脈を取捨選択し思考を巡らす中で、いくつの「問い」を持てるかどうかが、創造性を左右する。クリエイティブに生きるには、遊びでも仕事でも、そこは怠らない方がいい。

文化人類学者レヴィ=ストロースは「サイエンティストとは正しい答えを与える者ではなく、正しい問いを立てる者だ」という言葉を残している。

そうした「問い」は、「自分はこれが好きだ!」という「嗜好」や、いくつもの文脈をつなぐ思考フレーム、つまり「独自の考え」といったものからしか生まれてこない。機械と対峙していく人間の役目は「この文脈でこういうアクションを起こしたい」という「フレームを規定すること」に集約されていく。そして、人間が規定したフレームの枠内のことは、AIがやってくれる世の中になる。

 

だから、今度どんな素養を培えば「持続可能な教養」を備えることができるか、と問われれば「自分で物事をフレーミングする力」だと答える。読書は思考のフレームを増やすのに、いい作用を及ぼす。