インパクトカンパニー 成熟企業を再成長させる、シンプルな処方箋

発刊
2019年1月24日
ページ数
256ページ
読了目安
261分
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創業20年の中小企業にこそ可能性がある
成熟産業において、社会課題に取り組んでいる中小企業にこそ可能性がある。従来型の経営から脱し、データ分析やデジタル化に取り組むことで、中小企業は大きく躍進すると説く一冊。

インパクトカンパニーとは

インパクトカンパニーとは、経済的に成長しながら同時に、事業を通じて社会問題の解決を目指す中小企業のことだ。大企業やベンチャー企業ほど目立たない存在ではあるが、これからの社会にとって決定的な影響力を及ぼす。

ベンチャーが0から事業を立ち上げるのに対して、インパクトカンパニーは、成熟した既存事業から、新しい成長を創り出す。その際、既存事業の延長で成長するのではなく、ビジネスモデル自体を劇的に進化させるのだが、そのプロセスには、一定のパターンがある。大抵の場合、それは会社存続の危機から始まる。業績が壁にぶつかった結果、捨てるべき事業、引き継ぐべき事業が総点検される。事業を絞り込んだ後、ほどなく自分たちにしか実現できない未来が浮かび上がる。

創業20年から本格成長期へ

インパクトカンパニーへと進化し、本格的な成長をスタートできるかどうかの転換点が訪れるのは、創業20年へと向かうタイミングである。創業後20年も経てば、顧客や取引先からの評価も定まり、また業務に慣れた中核社員もいることが多くなる。その結果、より計画的に経営も進み、財務も健全化する会社が増えていく。

インパクトカンパニーの時代

これから新しい成長カーブを描くためにはまず、未来がどう展開するかを知らなければならない。私たちは富を手に入れたことで「物質的に満たされても豊かさは得られない」ことに気付かされた。今、私たちにとって欠落しているのは「精神的な豊かさ」「人間の真の幸せ」だ。こうした目に見えないもの、手に取れないもので欠落を埋めていくようになるので、これから70年は「人間とは何か」を問い続ける時代になる。

これから本格化する「ヒューマニティの時代」には、人々が生きる現場に近いインパクトカンパニーこそ、不可欠な資質を持っている。介護や過疎、人口縮小といった数々の問題の最前線に立ち、当事者たちに寄り添う経験と知識があって初めて、価値が提供できる。だから今後は、そうした身体を動かすことを厭わない成熟業界の企業群が、ドラクエやポケモン世代の30代経営者と手を組むことで、強い影響力を発揮する。

ブロックチェーンの活用には成熟企業が有利

ブロックチェーンは、小さな企業、それも社会性を持った事業をしているインパクトカンパニーにこそ、大きなチャンスをもたらしてくれる。社会性を持ったビジネスは、それを応援したいという人が世界中に現れる。そのためトークンの発行にも賛同を得やすく、資金が集めやすい。ブロックチェーン事業立ち上げに要するコストの60%は、トークンを使用するコミュニティの形成にかかると言われている。地域社会で長く活動する会社は、既に顧客コミュニティがあり、有利である。

ビジネスモデルを見直せ

成熟業界にありながら、再び本格的な成長を始めるためには、どうしたらいいのか。その答えは、成熟企業を再成長させる「ビジネスモデル」を構築し、そして「勝ちパターン」を実行するためのスキルを学ぶことだ。

これまでの「請負型」「コンテンツ型」「プロダクト型」「コミュニティ型」「ショップ型」という収益力の低いビジネスモデルから、売上も利益も飛躍的に伸ばせる「プラットフォーム型」「メディア型」「マネー型」への転換が必要となる。

プラットフォーム事業を立ち上げるためには、ユーザー同士の交流を支える「自社のコア技術」を明確化しておく必要がある。そして、見知らぬ者同士の交流がスムーズに行われるようにするユーザーインターフェースが必要である。大切なことは、自社の「未来に輝く強み」を知ることである。