人を助けるすんごい仕組み――ボランティア経験のない僕が、日本最大級の支援組織をどうつくったのか

発刊
2012年2月17日
ページ数
317ページ
読了目安
385分
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東日本大震災の支援団体の舞台裏から、組織運営を学ぶ
ボランティア経験なしの早大大学院(MBA)専任講師が、日本最大級の支援組織「ふんばろう東日本支援プロジェクト」をどう作ったのかを紹介している本。
人を助ける仕組みと支援の舞台裏が書かれています。ボランティア組織を運営する上での苦労話など、共感する点が多々あります。

■ふんばろう東日本支援プロジェクトとは?
仙台出身の著者は、おじさんが行方不明の中、南三陸町に入り、報道をはるかに超える惨状に言葉を失う。そして、自治体や拠点避難所には物資が山積みになり、受け入れを断る中で、小さな避難所には物資が届いていない状況を目の当たりにする。
被災自治体も機能を奪われ、個人で物資を運んでも微力である。そうして「行政を通さずに必要としている人に必要なものを必要な分だけダイレクトに届ける」ことを可能にする仕組みを作った。

この仕組み「ふんばろう東日本支援プロジェクト」は、多数のプロジェクトを生み出しながら、瞬く間に広まった。2012年1月時点で、この物資の仕組みを通して、約3000カ所以上の避難所、仮設住宅、個人避難宅を対象として35000回以上、155000品目に及ぶ物資支援を成立させた。

大規模プロジェクトを運営できた理由

プロジェクトを運営できた要因は、構造構成主義という普遍的な原理を身に付けていた事が大きい。原理は、いかなる状況でも適用可能で、未経験の現場においても、最適解を導き出すことができる。

「方法の原理」に照らせば、プロジェクトの有効性は、①状況と②目的から規定される。この場合、目的は「被災者支援」になる。そして、現地の「状況」を踏まえなければ、プロジェクトは有効なものにならない。
原理は、それから外れると必ず失敗する。そのため「状況」を捉え損ねると、必ず失敗する。だからこそ、「現場」に行き、その状況を肌で感じてくる必要がある。また、「目的」を共有することは、活動が目的からブレないためにも重要となる。

プロジェクトは、被災地の「現状」を踏まえ、被災者支援という「目的」を見定めて構築していく事で、うまく回すことができた。

しかし、プロジェクトだけ作っても、価値があると支援者に思ってもらい、支援金を振込んでもらえなければ、実効性のある形で回していくことはできない。価値を見出してもらうには、それに「関心」を持ってもらう必要があり、そのための「きっかけ」を与える必要がある。そこで「扇風機プロジェクト」や「冬物家電プロジェクト」などにおいて、現地の写真や動画などで支援者の関心を引出しながらキャンペーンを行った。

運営上の大変なこと

運営で一番難しいのは「人間の心」である。「ふんばろう」は無報酬のボランティアプロジェクトである。気持ちだけをエネルギーに動いている。そのため、みんなの気持ちがなくなった時点で、崩壊していくもろさを持っている。

個々人のミス・コミュニケーション、不平不満や内部批判、組織への依存といった様々な問題が噴出するようになった。人間は、自分が望まない後ろ向きな方向にエネルギーを使う時、心は急速に摩耗していく。それが積み重なった時、心は金属疲労を起こし、ある時ポキリと折れる。

いったい、いつまで、ふんばり続ければいいのだろう?

終わりの見えなさは、「ふんばろう」という気持ちを根っこから引き抜いてしまう。
「後ろ向き」+「終わりが見えない」=「絶望感」

この公式を壊すには「前向き」にするか、「終わりが見えるようにする」しかない。組織構造が整理されていない事から、何か言いたいことがあっても、どこに言えばよいのかわからない、言っても反映されない事がトラブルの原因になっていた。

そこで「ほめる」「励ます」というポジティブなリアクションをお願いし、「先の見通し」を示すため、今後物資支援から、仕事・教育・心という3つを柱とした自立支援に軸足を移す方針を打ち出した。時には自分たちの歩みを振り返り、ねぎらい合う場を持つ事も持続可能な支援体制をつくる上で重要である。

 

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