成長を支援するということ

発刊
2024年4月24日
ページ数
336ページ
読了目安
429分
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持続的な変化を起こすためのコーチング手法
人の持続的な変化を呼び起こすには、問題解決のアプローチでは成功しない。重要なのは、その人のビジョンを明確にすることから始めることであるとし、研究から導かれた効果的なコーチングの方法を紹介している一冊。

研究によってわかった行動変容のプロセスを紹介しながら、コーチングの本質について解説されています。支援者に対してコーチングを行う際に、必要な基本的な考え方や手順が書かれており、役に立つ内容になっています。

相手の理想の自分を明確にする

誰かをコーチする場合には、その人のパーソナルビジョンを掘り起こし、明確にすることが不可欠である。今、目の前にある問題を解決したり、規定の目的を達成する手助けをするよりも、その人の望みやビジョンを明らかにする方が、プラスの感情や本来あるはずのモチベーションを解き放ち、本物の持続的な変化をもたらすのに重要な鍵となる。

 

すべてのコーチングや支援は、効果的に行なわれれば、支援を求めている人々に特定の3つの変化をもたらす。

  1. パーソナルビジョンを発見し、未来像、情熱の対象、パーパス、価値観などを明確にすることができる
  2. 行動、思考、感情に変化が生じ、それによって理想の実現に近づいていることを実感する
  3. コーチや支援者と、共鳴する関係を築き、その関係を維持するようになる

 

支援を求めている人に手を貸そうとする時、私たちの大半は問題中心のアプローチをとり、人々の現状と、あるべき姿、なれるはずの姿との間のギャップに注目し、人々を修正しようとする。これでは持続的な学び、変化、適応をうまく促すことはできない。

欠点を修正したり、ギャップを埋めたりすることだけが目的である時、人は持続的な変化に必要な努力をあまりしない。反対に、長期的な夢やビジョンがある時、人はそのビジョンからエネルギーを引き出し、困難があっても変化のための努力を続けることができる。そういう状況をつくり出せる支援を「思いやりのコーチング」と呼ぶ。心からの気遣いや関心を示し、相手を中心に考え、サポートや励ましを差し出し、相手が自分のビジョンや情熱の対象を自覚、追求できるようにするコーチングである。

 

変化を持続させるためには、それが外から押し付けられたものではなく、自分の意思によるものであること、自分の内側にモチベーションがあることが重要になる。だからこそ、思いやりのコーチングは相手の理想の自分を明確にするところから始まる。

 

持続する望ましい変化を呼び起こす

持続する望ましい変化は直線的に起こるわけではない。行動変容は、不連続な爆発や噴出の形で起こる。持続する望ましい行動変容を起こすには、次の5つの発見が必要である。

 

①理想の自分

支援しようとする相手の「理想の自分」を探索し見極める。支援者やコーチは相手が自己効力感を高められるように、何が可能かについて希望や楽観を持てるように励ます。また、核となる価値観、アイデンティティ、人生のパーパスや天職について熟考するように促しもする。その結果、人々はパーソナルビジョンを明確に説明できるようになる。

理想の自分を探そうとしている人々を効果的に支援するには、パーソナルビジョンステートメントを書いてもらうとよい。

 

②現実の自分

パーソナルビジョンに表現されている「なりたい自分」と比較しながら、現在の全体的な姿を見極める手助けをする。コーチの役割として重要なのは、理想の自分と現実の自分がすでに一致している領域を特定するための手助けをすることだ。その領域は対象者の強みであり、理想とのギャップを埋めるのに活用できる。

自己認識を深める方法の1つは、360度評価を受けることだ。また対象者に「パーソナルバランスシート」をつくってもらうのも、現実の自分の姿を捉えるようにする1つの方法である。

 

③学習アジェンダ

学習アジェンダを作成する。コーチや支援者は、特定された強みを再確認し、理想とのギャップを埋めるためにその強みを活用できないか考えるように促す。ここで重要なのは、理想の自分に近づくのを手伝う中で、対象者が何をする時に一番高揚するかを考えることだ。

コーチがすべきなのは、今までやってきたことを続ければ、今までの自分であり続けるだけだと対象者に気づかせることである。変化を起こすには何か違うことをする必要がある。

 

④新しい行動の実験と実践

たとえ意図した結果につながらなくても、コーチは新しい行動の実験を続けるよう奨励する。実験は時に失敗することもあるが、それは構わない。期待通りにいかなくても、もう一度やってみるか、別のことを試すようにコーチは働きかけるべきだ。望ましい突破口がひらけるには、うまくいく方法が見つかるまで対象者が実験を続ける必要がある。方法が見つかったら、コーチは実験を実践に移す手助けをすればいい。ここまで来ると、実践の上にさらに実践を重ねることが極めて重要になる。

 

⑤共鳴する関係と社会的アイデンティティ・グループ

対象者に必要なのは、信頼できて支えとなってくれる人々のネットワークから引き続き助力を得ることだ。そこでコーチや支援者は、その必要性を対象者がしっかり認識できるよう手伝う。変化への努力は「共鳴する関係」があってこそ成功する。コーチや支援者とはこうした人間関係を築くべきだが、いざという時にサポートや励ましを求めることのできる相手もいるとよい。