トヨタの育て方

発刊
2013年9月13日
ページ数
223ページ
読了目安
203分
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自分のアタマで考える人材のつくりかた
トヨタの「カイゼン」の原点には、自分の頭で考えて問題を解決する人材の育成がある。どのようにしてトヨタは強い現場をつくる事ができているのか。その人材育成の考え方と仕組みを紹介した1冊です。


■現場の社員がリーダーになれ
トヨタには、絶対的なカリスマがいない。現場の第一線で働いている組長や工長の面々が一種のカリスマになるような会社である。そのような人材を現場で何人も育てられる風土こそがトヨタの強みだといえる。

トヨタでは仕事の成果も求められるが、同時に「自分の分身を何人育てられたか」も評価のモノサシになっている。自分の「分身」を育ててから、上位の職種に上がっていくので、リーダーが1人抜けても組織が停滞する事はない。

トヨタで真のリーダーとして評価されるのは、部下を伸ばす事ができる人である。仕事のできるリーダーは、部下に答えを与えて「この通りにやりなさい」という指導をしがちである。この方法では、部下は指示待ち人間になり、成長しない。一方、部下を伸ばすリーダーは仕事のプロセスにこだわるので、部下に自分で答えを見つけるように促す。部下は「もらった答え」よりも、「見つけた答え」の方が達成感を得られるので、どんどん成長していく。

考えさせることが最も大切

「よい品、よい考(かんがえ)」。これがトヨタの人材育成の基本精神である。よい品は利益をつくり、よい考は人をつくる。そして、よい品は、よい考えから生まれる。つまり、1人1人が意識して考えないと、会社の利益は生まれないという訳である。トヨタでは、人を育てる上で、考える事、そして考えさせる事を最重視する。それが昔からの企業風土となっている。

トヨタには「3行提案」という「創意くふう提案制度」がある。日々の業務の中で気付いた事、こうした方がいいというものがあったら、A4サイズの用紙1枚にまとめて上司に提案する。用紙の中には「現状」「改善案」「効果」などを簡潔にまとめるようになっており、これが改善の種となる。毎月、工場単位で優秀な提案が選ばれ、賞金がもらえる仕組みになっており、約6万人の社員から年間70〜80万の提案が上がってくる。こうしたボトムアップの提案がトヨタの強さの源になっている。

どんな仕事でも考える事が仕事の質を高め、人が育つ基盤となる。3行提案を取り入れる事で、提案する部下、提案を受ける上司も「どうすれば良くなるのか?」を考えるようになった。

標準をつくって改善を加える

トヨタには「標準」という考え方がある。「標準」とは、各作業のやり方や条件であり、具体的には、作業要領書や作業指導書、品質チェック要領書など多岐にわたる。これらは各現場で少しずつ作られてきたもので、現場の知恵が凝縮された手引書である。こうした「標準」があるからこそ、作業や品質が一定のレベルを保つ事ができる。

「標準」をつくるのは、上司の仕事である。「標準」があれば、目指すべきところがはっきりするので、部下は自分で判断できるようになり、仕事の精度も上がっていく。トヨタの「標準」はそこから改善を加えていく。もし部下が「標準」を守れないなら、「標準」自体に何か問題があると考え、見直さなければならない。

モノの見方を伝える

「これがいいこと」「これが大切」という事を現場できっちりと教える事が、部下の成長につながる。上司は発想や考え方といったモノの見方を伝えなければ、部下は判断や行動に拠り所を見出す事ができず、個人の能力や裁量に依存した組織になってしまう。

トヨタでは「これがいいこと」「これが大切」といったモノの見方を現場の仕事のプロセスの中で教えていく。どういう思考に基づいて、どういう行動をとったかというプロセス管理が大事にされている。結果が出ていなくてもプロセスが間違っていなければ、「このやり方は良かった」と評価してあげる。こうしてプロセスを肯定された部下は、モチベーションが上がり、「他により良い方法はないか」と自分の頭で考えていく。

 

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