HIGH OUTPUT MANAGEMENT 人を育て、成果を最大にするマネジメント

発刊
2017年1月11日
ページ数
336ページ
読了目安
508分
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高い成果を出すためのマネジメントの極意
インテル元CEOのアンディ・グローブが、後進の起業家、経営者、マネジャーに向けて書いたマネジメントの解説書。インテルのCEOとして経験してきた、アウトプットを高めるためのマネジメント手法が紹介されています。

マネジャーのアウトプットとは何か

【マネジャーのアウトプット = 自分の組織のアウトプット + 自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット】

マネジャーも、自分「自身」の仕事や自分個人の仕事をやり、これをよくやりこなすだろうが、これは当人のアウトプットとはならない。マネジャーのアウトプットとは、監督下にあるグループ、あるいは影響下にあるグループが遂行した成果である。

マネジャーというものはアウトプットに影響を与えるために、一連の色々な活動に従事するものだという点を理解することが大切である。マネジャーは意見を持ち、判断しなければならない、命令を与えなければならない、経営資源を割り当てなければならない、間違いを発見しなければならないし、他にもやるべきことはたくさんある。すべてがアウトプット達成に必要である。だが、アウトプットとそれらの活動とは決して同一のものではない。

マネジャーの仕事とは

マネジャーの1日の仕事の大部分は情報収集に使われる。その方法も数多くある。標準化された定期的なレポートやメモも読むが、随時あれこれと情報を手に入れる。社内外の人、よその会社のマネジャーや証券分析の専門家、マスコミの人とも話をする。顧客の苦情も重要な情報源である。しかし、最も役立つ情報は、たまたま交わす、ちょっとした会話の中にこそある。この種の情報は文字に書かれたものよりも、はるかに速くマネジャーの耳に届く。しかも、タイムリーであればあるほど価値は高い。

情報を入手する特に効率が良い方法で、ほとんどのマネジャーが見逃しているものがある。それは社内のある特定の場所を訪れて状況を見て回ることである。マネジャーの方が職場を回り、2分間で済む関心事を持つ人に会うようにすれば、単に立ち止まって話を聞き、立ち去れる。

マネジャーは情報を集めるだけでなく、情報の提供源でもある。自分の部門の部下や自分が影響を及ぼしている他部門の者にも知識を伝えてやらなければならない。事実を伝えるということ以上に、マネジャーは自分の目標や重点事項や優先事項などについても、特定の仕事の処理の仕方に関連する限り伝えなければならない。こういうことを知らせさえすれば、部下はどうすれば上司であるマネジャーや監督者に認めてもらえるような意思決定ができるかがわかるからである。こうして、目標や望ましいアプローチを伝えることが権限委譲の成功の鍵となる。

大きなマネジャーの活動は、もちろん意思決定である。この意思決定は、ビジネスが直面している事実や問題点を当人がどの程度よく理解しているかによって左右される。だからこそマネジャーの生活では情報収集が非常に重要になる。

経営管理者のテコ作用

マネジャーは多くのボールを同時に空中に上げておき、自分の部門のアウトプットを最高に上げると思われる活動に自分のエネルギーと注意を注がなければならない。自分の「テコ作用」が最大となりそうな点に移るべきなのである。マネジャーのアウトプットは次の3つの方法で増加できる。

①マネジャーが自らの活動を遂行する速度を速めて、仕事をスピードアップする
②色々な経営管理活動に関連のあるテコ作用を増加する
③マネジャーの活動のミックスを、テコ作用の低いミックスから、より高いミックスに換える

これを達成するには基本的な方法が3つある。

①大勢の人が1人のマネジャーにより影響を受ける場合:ex.年間財務計画策定
②ある人の長期間にわたる活動が、特定のマネジャーの、短いが的を射た言葉や行動によって影響される場合:ex.人事考課
③ユニークで貴重な鍵となる知識や情報を提供する個人によって、大きなグループの仕事が影響される場合:特殊製造プロセス管理