ハーバード、オックスフォード…世界のトップスクールが実践する考える力の磨き方

発刊
2013年10月23日
ページ数
263ページ
読了目安
286分
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教養とは何か、物事を考えるとは何か
世界の名門大学は、思想や哲学を通じて「考える力」を鍛える。
国家、自由、経済などのテーマをもとに、物事の考え方を教える1冊。


■知識や経験に対して、どう感じ、どう思考するかが大切
グローバル社会に通用する人材となるためには、確固たる価値観を持っていたり、本物の教養を身につけている事の方が、語学ができる以上に重要である。日本人に最も欠けていて、最も必要なのは「本質的な物事に関して、しっかりと思考し、自分なりの考えを持つこと」。そして、その「ブレない価値観をきちんと主張し、コミュニケーションを図れること」である。

フランスの政治家エドゥアール・エリオは、教養や哲学について「それはすべてを忘れた時に残るものであり、すべてを習った後にでも、なお足りないもの」だと言っている。いかに豊富な知識を得ても、それを忘れてしまう事はある。しかし、すべてを忘れてしまった後にでも、心に残っている信条や価値観、「あなたという人物を形作っている軸」が必ずある。それが「教養」である。

裏を返せば、知識や経験を自らの血肉とするには、それを十分に咀嚼し、思考し、取捨選択をし、再構成する必要があるという事である。知識や経験に対して、どう感じ、どう思考していくのかという作業が重要である。それを繰り返していく事で自分の信条や価値観が形成され、人生を支える武器となっていく。

あなたはどんな人間か

世界の多くの大学では「あなたはどんな人間か?」「どんな価値観、信条を持っているのか?」という部分を深く問いたいと考えている。この漠然とした問いに対し、自分なりに分析し、話を組み立て、答え方を工夫し、相手に説明しなければならない。

この難題に向き合うには、その人自身を表す大事な要素である「認識」という視点が大切になってくる。なぜなら、いかに同じ経験を積んだとしても「それをどう受け止めるか」によって、その価値や意味合い、影響力は大きく変わってしまうからである。経験は「事実と認識」がセットになっているのである。

自分の認識を疑い、他人との差に目を向けること

世界のトップスクールでは、合理的思考を身につけるための入口として、デカルト的アプローチについて必ず学ぶ。デカルトによると、物事の真偽を見極めるために必要なのは次の4つのステップである。

①とにかく疑うこと
②徹底して細分化すること
③細分化したものを単純なものから複雑なものへと段階を追って考察していくこと
④漏れがないように見直すこと

この4つのステップを踏んでもなお「確かである」と残ったものは、それは本物であると考えた。

デカルト的アプローチは、支持する人もいれば、真っ向から否定する人もいる。その感じ方、認識のスタイルこそが、あなたという人物を形作る重要な要素である。あなたの認識の仕方は、より「アナリティック(分析的)」なのか、より「ホリスティック(全体的)」なのか。

デカルトのアナリティックな視点に対し、全く逆のホリスティックな視点は、細かく分析する事によって何かをわかろうとするのではなく、より広く、大きく捉えなければ物事の本質なんてわからないという立場である。

老子は「善は、悪があるから善と呼ばれる。悪のあるおかげで善がある。お互いに片一方だけでは決して存在し得ない」と、両側面の存在を見つめる事の大切さ、大局観の重要性を伝えている。

このアナリティック、ホリスティックという視点は「西洋的」と「東洋的」と捉える事もできる。国籍や考え方が異なる人たちが集まって会議をしていると、この認識の差が大きな問題になる事がよくある。まずはお互いが「視点、認識に差がある」という事を理解した上で、話し合いを進めていく必要がある。そのために、まずは「あなた自身がどんな認識スタイルを持っているのか」を知る必要がある。

そして、いずれにしても「あなたが信じているもの」は、あくまでもあなたの認識をベースにしたものであり、世間一般で通用する真理とは限らない。まずは自分の認識を疑ってみる事が大切である。

 

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