仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法

発刊
2006年3月31日
ページ数
240ページ
読了目安
245分
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仕事が早い人の思考法
ボストン コンサルティング グループの日本代表を務めた著者が、仕事の効率を高める思考法を紹介している。
結論から先に考えることで、問題の全体像を素早くつかみ、正しい解決策を効率よく導き出す。BCG流の問題発見・解決の発想法が満載。

仮説思考とは

「仮説思考」とは、物事を答えから考える事である。課題を分析して答えを出すのではなく、十分な証拠が無い時点で答えを出し、それを分析して証明することを指す。
自分がつくった仮説を検証するために必要な証拠だけを集めればよいので、無駄な分析や情報収集の必要が無くなり、非常に効率が良くなる。自分の仮説が誤っていた場合は、検証段階において証拠が集まらない筈であり、早い段階で間違えに気付くことができる。

 

仮説思考によるメリット

ビジネスパーソンが仮説思考を使いこなせるようになると、日常業務の上で大きく三つのメリットがある。

第一に、情報洪水に溺れなくなること。現状として、経営陣から社員まで大半が情報コレクターになっている。全ての情報を集めることで正しい意思決定が可能になるという「網羅思考」は意思決定を妨げるばかりか、必要な情報と不要な情報を同水準で並列してしまう。意思決定の際に役立つ情報というものは、既にある選択肢を狭めてくれる情報だけであり、仮説を持つことでこのような弊害を免れる事ができる。

第二に、問題解決に役立つこと。仮説思考は真の問題が何であるかを発見し、解決策をつくる上で非常に有効に働く。問題を考えついたり答えを探したりするプロセスというより、むしろ効率的に不要な問題や役に立たない解決策を消去するプロセスであり、迅速な意思決定を促す点において優れている。

第三に、大局観を持って仕事が出来ること。仮説思考では、ほとんど情報が無い状態から、問題に対する解決策や戦略まで踏み込み全体のストーリーをつくる。つまり、意図的に大局観を持ち、問題を構造化する作業が伴う。

 

仮説の検証・進化に向けて

仮説の検証段階において重要な事は、問題の解決策が実際に効果をあげる事ができるかどうか、そして経済的に実現可能性を伴うかどうかだ。この視点から仮説を検証する事で、より実現可能性の高い仮説へと進化していく。
仮説を進化させるためには、仮説の構築から検証までのサイクルを可能な限り短期間に抑え、出来る限り数多くの実験回数を繰り返すことがポイントである。単位時間内に行える実験回数が多い程、仮説がプラスに検証される確率は高まると言える。

 

仮説思考力を高めるためには

経験を積んだコンサルタントは、無意識のうちに脳内で仮説の構築・検証・進化を行う事ができる。しかし、このような能力を培うためにはかなりの経験が必要となる。
高次元の仮説思考力を身につけるためには、身の周りで起こる様々な事柄に対して日頃から問題意識を持つ事が有効である。そして、失敗を恐れないことも仮説思考力の向上に寄与する。失敗しても、繰り返し仮説構築・検証を行う根気と学習能力があれば、仮説思考力は必ず向上する。