EA ハーバード流こころのマネジメント――予測不能の人生を思い通りに生きる方法

発刊
2018年4月5日
ページ数
320ページ
読了目安
434分
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ハーバード式こころのマネジメント方法
湧き上がった考えや感情を柔軟に調整する力『感情の敏捷性(EA)』を身につけるための方法を紹介している一冊。

EAとは

エモーショナル・アジリティ(EA)とは、日々の状況に適切に対応できるよう、湧き上がった考えや感情を柔軟に調整する「感情の敏捷性」のことである。

EAは、幸せと成功の鍵になる。これは自分の思考をコントロールすることでも、前向きな思考を強制することでもない。ネガティブな思考を無理やりポジティブな思考へと変えようとしても、ほとんど効果がないし、逆効果にさえなりかねない。大切なのは、肩の力を抜いて心を落ち着け、意識を研ぎ澄ませて生きることだ。

自分が何を感じ、その感情に対していかに行動すべきか。EAはその間に空間を作り、難しい状況や局面を乗り越えるのを後押ししてくれる。EAを持つ人には行動力がある。変化が激しく複雑な世界に柔軟に対処している。ストレスの多い状況や挫折に耐える力があり、それでいて熱意や包容力も失わない。人生には困難がつきものだと理解した上で、価値観に従って行動し、長期的目標を追い求める。

EAを身につける4つのステップ

感情の敏捷性(EA)とは、今この瞬間に身を置き、自分の目標や価値観に合った生き方をするために行動を変え、また、行動を貫くことを可能にするプロセスを意味する。これは面倒な感情や考えを無視することではない。そういった感情を緩やかに抱き、勇気をもって向き合い、その上で人生における重要な目標を達成すべく、さらに先へと足を踏み出すことに他ならない。具体的には、4つの基本的なステップがある。

①向き合う
生きていく上で、不安や悲しみ、後悔は避けられない。しかし、そういった経験の数や深刻さよりも、困難な状況に対していかに向き合うかによって人生の満足度は左右される。向き合うこととは、意志の力を奮い立たせて相手を打ち負かそうと構えることではない。自分を苦しめるものを直視し、誠実かつオープンな気持ちで、それらと向き合い、理解し、共存することだ。

②距離を置く
いったん距離を置くことで、自分の考え、感情、主張に流されるのではなく、自分の価値観に基づいた行動を選択できる。コンテクストに敏感になり、行動を今目の前にある状況に役立つよう切り替えられる。距離をおいてみれば、それまで視界に入らなかったものが見えてくる。距離を置くためのテクニックは次の通り。

1.プロセスを考える
2.矛盾を突き詰める
3.笑う
4.視点を変える
5.声に出して言う
6.三人称で自分に語りかける

③理由を考えながら歩む
自分が大切に思い、生きる意味や満足感を与えてくれる信念や行動に従って生きることは、EAを養うのに欠かせない。自分が望む生き方に見合った決断を推し進めるには、自分の価値観を見極め、それを道しるべにするしかない。

頭の中の状態を整理して落ち着かせ、考えとそれを抱く自分の間に空間を作れば、自分の価値観や、大きな目標といった本当に大切なことに集中できるようになる。まずは恐怖や苦痛など、非生産的な影響をもたらす感情的要素を自覚し、受け入れ、そこから距離をとる。そうすれば考えと感情を、長期的な視点から見た自分の価値観や願望と結びつけ、目的地に到達する新しい方法を見つける力を得られる。

④前進する
−小さな工夫の原則−
ちょっとした工夫でも、それが自分の価値観に裏付けられたものなら、人生を大きく左右する可能性がある。小さな工夫を毎日積み重ねれば、極めて大きな影響力となり、卓越した成果をもたらすことができる。小さな変化を起こす領域には「マインドセット」「やる気」「習慣」がある。

−シーソーの原則−
EAを保つには、過剰な能力と過剰な挑戦の間に均衡点を見つけなくてはならない。挑戦と能力の間でうまくバランスととり、自己満足に浸ったり、プレッシャーに押しつぶされたりせずに、喜びと情熱、そして活力をもって挑戦していく。