東大物理学者が教える「考える力」の鍛え方

発刊
2013年7月6日
ページ数
199ページ
読了目安
220分
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自分のアタマで考え、創造する力を鍛える方法
情報ではなく、それを活かす能力が求められる。東大物理学者が、「考える力」を身につけるための方法を紹介しています。


■「考える力」とは何か
一般的に学校の成績が優秀であったり、試験で高得点を挙げる人を「頭が良い」と言う。確かに、こうした能力は「頭の良さ」の1つの側面だが、実社会で求められる能力のごく一部に過ぎない。画期的な商品を思いつく、想定外の出来事に的確に対応するといったように、新しいアイデアを思いつくためには「考える力」が不可欠である。

受験勉強で鍛える事ができるのは、課題として与えられた知識やスキルを効率よく身につける「マニュアル力」である。マニュアル力は「答えがある」「正しい手順が決まっている」という場面では素晴らしい威力を発揮するが、こうした場面は限られる。マニュアルだけでは乗り切れない新しい社会の状況に対応するためには、「考える力」を鍛え、「創造する力」を身につける事が必要である。「自ら考え、創造する力」は、3つの力に分解する事ができる。

①問題を見つける力(常識だと考えられているところに問題点を見出す能力)
②解く力(問題点を整理・分析・分解し、答える至る能力)
③諦めない人間力(目に見える成果が出なくても、諦めず粘り強く考え続ける能力)

これらの3つの力は意識的な努力を積み重ねる事によって鍛える事ができる。

問題を見つける力

「問題を見つける力」の第一歩は、日頃から「疑問を大切にする」習慣の大切さを理解し、それを身につける事である。「気になる」「面白そう」「どうしてだろう」といった感覚的なものを放置してはいけない。そこに「問題の種」が潜んでいる。

コツは「自分はいつも何かを考えている」と自覚する事である。そのためには、思いついた事をメモしておく事が役に立つ。但し、それだけでは「思考の堂々巡り」によって放置しがちになる。意識的にそこから一歩だけ、考えを進めること。思考に行き詰まった時は、「自分は何を、何のために考えているのか」を意識する事が肝心である。

私たちが直面する「分からない」は3つのパターンに分けられる。

①事実を知らない → 答えの調べ方を考える
②答えが分からない → 自分の頭で考え始める
③何が分からないか分からない → 何が分からないかを明確にする

この内、「何が分からないのかを明確に意識する」という過程こそが、「問題を見つける力」の最も肝心な部分である。「何が分からないのか」がクリアになれば、問題・解決ははっきりする。「何が分からないのか分からない」という状態を解消するには、関係のありそうな情報や事例をたくさん集めて調べる事で「何が分かっていないのか」を明確にすればいい。情報収集では「答えを探さない」ように注意すること。答えが見つかれば、それはそもそも「事実を知らなかった」だけで、取り組むべき価値のある課題ではなかったという事になる。

集めた情報を分析し、理解した後は、元の情報を捨てる。捨てる事で頭の中を空っぽにし、今直面している情報に意識を集中できる。「同じ情報を一度探す手間」よりも「読み切れない量の情報をストックし続ける事によって、集中できずに意識が分散するリスク」の方が大きい。「問題を見つける」極意は、情報を集め、内容を理解した上でそれを捨てる事にある。

解く力

創造的な問題には、決まった答えがあるとは限らない。しかし、問題を広角的に分析し、多角的な対策を立てる事で「答えが1つに決まっていない問題」にも対処は可能である。

課題が現れた時は、それに関する情報を徹底的に集めて、類型化し、要素に分解する。さらに想定される課題を洗い出し、それを新たに類型化する事で自らの弱点を1つ1つ克服すれば、どんな課題にも柔軟に対応する事ができる。

諦めない人間力

一朝一夕に答えが出せるようなものではない問題にこそ、時間を費やし頭脳を働かせ続ける価値がある。大発見のほとんどは、長い時間をかけた格闘の末に誕生している。

正解を誰も知らない問題を解決する道のりは、「トライ・アンド・エラー」の連続と言える。長い時間をかけて、試行錯誤を繰り返すには「諦めない人間力」が必要である。

 

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