大きく、しぶとく、考え抜く。―原田泳幸の実践経営論

発刊
2012年9月26日
ページ数
225ページ
読了目安
233分
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マクドナルドの実践経営論
日本マクドナルドCEOの原田氏による実践的な経営論。
データ分析ばかりではなく、現場を見ろ、商売の感覚を磨けといった実際の経験からビジネスの本質を語っています。


■新しい成長を生み出す
2005年から始めた「100円マック」は、「かつての値下げ戦略と同じだ」「利益を度外視している」など、マスコミからも叩かれたが、新しいマクドナルドのファンが生まれ、成長戦略の土台ができ上がった。その後、「えびフィレオ」や「クォーターパウンダー」など新メニューの投入で、客単価も戻った。同時に24時間営業の拡大・改良などの手も打ったことで、8年連続既存店売上プラスを果たした。

さらに売上を上げていくためには、もう一度客数を増やし、顧客基盤を作り上げる必要がある。そして、客単価を上げなければ次の成長はない。2012年から始めた新戦略では、100円、250円、500円と、3つの価格帯を同時に打ち出した。100円メニューは前回より質が上がっている。250円、500円はセットメニューで値段が高いほど、お得感が高まるようにした。250円は吉野家などの牛丼、500円はコンビニのお弁当と、ランチで競合する市場を標的とした。

テレビCMの予算を高価格帯の商品から、100円商品のCMだけに逆転させた。常に成長の土台をつくる商品は必要である。

データよりもメッセージが大切

1年前からコーヒーの無料提供が今後の客層拡大の生命線だと言い続けているが、現場がそこまで動かない。店舗の売上を見ると、試飲用コーヒーを1日に数百人以上のお客様に配っている店と、1日20杯ぐらいしか配っていない店では、売上に差がはっきり出てきた。

そこでお店を管理している数百人のマネジャー以上を集めたところで、こんな事があった。担当者にミーティング資料をどうやって作っているのかを聞いたところ、「試飲用コーヒー提供の相関データを一生懸命つくっています」と答えが返ってきた。きまじめにデータを精査し、分析している訳だが、データの正確性よりも、それをわからせるメッセージを重視しろと指示をした。

新たな顧客を広げるための金鉱を掘るには、表面的な対応ではダメだ。現場のやる気を引き出すには、こちらの情熱が大切なのである。

ビジネスとはマーケットをつくること

外食産業の場合、安売り戦争が中心であり、「売る」のではなく、そこに存在するお客様の需要をローコストで隣から「奪う」という競争になっている。それはマーケットをつくっている訳ではない。ビジネスとは、マーケットシェア・ゲームだけでなく、マーケットをつくる事ではないか。そのためには、お客様にとって、今まで経験したことのない価値を提供するという視点がなければならない。

ウォークマンやiTunesのように、新しいものをつくった時に、新しいライフスタイルやマーケットも同時に生み出される。

「両方追う」のがビジネス

経営というのは、すべての相反する要素を満たそうとする矛盾を追いかけること。例えば、顧客満足度を上げようと思ったら、店舗にクルーをたくさん入れることで確実に上がる。しかし、その分利益を圧迫する。一方で利益を上げようとすると、満足度が下がる。

「では、どちらをとりますか」という質問をよく受けるが、その時は「両方とれ」と言う。両方とることがビジネスである。同時にとれないから、双方のバランスを取りながら誘導していく。

商売の感覚を磨け

値上げをした時、お客様に「なんで値段が上がったの?」とよく聞かれるので、小さいカードを貼って、誰でも説明できるようにと指示を出した。ある日、店に出向き3人のクルーに質問をした。1人目は理由を度忘れ、2人目は「今回は◯◯の原材料を△△して、□□のように形を変えました」と言う。3人目は「おいしくなったからです」と言う。3人目が一番正しい答えです。

「お客様に原材料の変更を科学的に説明するバカがどこにいる」と説教をした。「お客様、食べてみれば絶対に分かりますから」と説明すれば、それでいいのである。これが商売というものである。

 

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