スターバックス再生物語 つながりを育む経営

発刊
2011年4月19日
ページ数
423ページ
読了目安
650分
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スターバックスの失敗と成功から学ぶ経営の本質
スターバックス創業者によって、その拡大から低迷に至った原因を分析し、再生するに至るまでの道のりが書かれた本。

スターバックス拡大から衰退へ

2000年、創業者のハワード・シュルツ氏(著者)は引退。その後、CEOを務めたオーリン氏によって、5年間で店舗数は約3倍の9000店に達した。店舗が増えれば増える程、店に並ぶ列が長くなったため、さらなる拡大を図った。オーリン氏の後任もまた、以下のような拡大の路線をとった。

・ハイアット等のホテルで、宿泊客にスターバックスのコーヒーを提供
・書店やスーパーの中に独立店を設置
・エンターテインメント分野への進出(店舗でCDや本も販売、映像分野にも進出)

2006年、スターバックスの業績は悪化し始める。顧客単価が減り、2007年夏には来店客数の伸びは、過去にないほど落ち込んだ。著者は、世界中の店舗を訪れるうちに、本質的なものを失ったと感じた。全体的な雰囲気や精神である。

拡大路線による失敗事例

・背の高いエスプレッソマシンの導入により、バリスタの姿が見えなくなったこと
・店舗で豆を挽かなくなったことにより、店舗内のコーヒーの香りが失われたこと
・コーヒーの香りが失われることで、スターバックスの店舗の伝統が失われたこと
・規模の効率性を重視し、店舗のデザインを簡素化し、魂が失われたこと
・サンドイッチ販売で、オーブン温めによるにおいが、香りを台無しにしたこと

サンドイッチ販売は売上を伸ばしていたため、これを止めることには社内で葛藤があった。

スターバックス再生の施策

2008年、著者はCEOに復帰して、以下の施策を行った。

・国内7100店を一時的に閉鎖し、13万5000人のバリスタを再教育した。
スターバックスはコーヒーを売るだけの企業ではないが、コーヒーが美味しくなければ存在意義がなくなる。再研修は、スターバックスのコーヒーの質の低下を自分で認めるようなもので、リスクがあったが結果として良い方向にいった。

・コーヒー豆を店舗で挽くことにした。
これまでの効率化に関する習慣はやめた。コーヒーの風味を維持するため淹れてから捨てるまでの時間を1時間から30分に短縮した。

・パートナー(従業員)とのコミュニケーションを増やした。
直接メールを送ってもらい返事をしたり、店舗や工場を訪れ、仕事をしている人たちと話した。

7つの目標

スターバックスは、変革に向けた7つの目標を定めた。

①コーヒーの権威としての地位を揺るぎないものにする
②パートナーとの絆を確立し、彼らに刺激を与える
③お客様との心の絆を取り戻す
④海外市場でのシェアを拡大する
⑤コーヒー豆の倫理的調達や環境保全活動に率先して取り組む
⑥スターバックスのコーヒーにふさわしい創造性に富んだ成長を達成するための基盤を作る
⑦持続可能な経済モデルを提供する