経営はデザインそのものである

発刊
2014年3月28日
ページ数
275ページ
読了目安
381分
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企業のビジョンをデザインする方法
企業経営にとって大切なビジョンをどのように創造すればいいのか。
デザインの手法を使って、会社の未来像を描く方法を紹介している本です。


■企業を3つの視点で考える
これまでの企業経営では、消費者に便益を提供し、いかに収益を得るか、という事が焦点であった。しかし、今の時代は「消費者」と「収益」というシンプルな企業活動の枠組みでは捉えられない。「消費」を活性化するための企業活動が、その生産過程における自然資源の濫用や、利益の分配の偏りによる格差の拡大、労働者の酷使など、社会ひいては個々人の生活にマイナスの影響を与えている。そして、こうした企業活動の負の側面に対する生活者の目が厳しくなっている。生活者が企業を評価する際の視点は3つある。

①経済性:どの商品が望む機能を満たしていて安くてお得か
②文化性:新しいライフスタイルや生活行動を通じて生活を豊かにできるか
③社会性:社会に対して企業がどのような姿勢で向き合っているか

3つの視点で企業と社会、企業と生活者との関わりを規定する事は、その企業が未来に向けて「こうありたい」という姿、すなわち「ビジョン」を規定する事と同義である。自社が生活者と共に創っていきたい未来像であるがゆえに、そのビジョンを具現化しようとする企業活動への共感が高まる。

ビジョンを可視化する

企業活動においてビジョンを具現化するには、調達・生産から販売、サービスまで、すべての工程における事業活動を見直す、新規事業を立ち上げる、または、新たなマーケティング活動を行うなど、様々なレベルでの取り組みが必要だ。

全社員の意識をビジョンの具現化に向け、行動につなげるには、生活者と共有可能なビジョンを構想するだけでなく、ビジュアルとして可視化する事が極めて有効である。ビジョンを可視化する事で、多様な認識を持つ人々の中に共通イメージを伝え、向かうべき方向性をブレなく共有する事が可能になる。

この新たな経営のありようを追究する上で「デザイン」という方法論が有効である。デザインは、経済的な視点だけでなく、人が必要とする生活の豊かさ・楽しさなどの価値観やライフスタイルであったり、社会においてその形が存在する上での自然環境、社会問題に対する関わりも考える。それらの最適解として、これまでに存在していなかった1つの形が生み出されるのである。

経営にデザインを活用する5つのメリット

①全人的な生活者から共感・支持を得られる
②自社を捉える視野が広がり、競合動向に囚われなくなる
③経営に、本当の意味でのリアリティが宿る
④まだ世にない、新しい企業活動が生まれる
⑤未来像実現に向けた活動を各社員が創発する

デザインを経営に活用する

経営にデザインを活用するプロセスは、2つの機能に沿って、未来像を構想する「ビジョン・プロトタイピング」と、ビジョン実現に必要な活動を検討する「アクション・プロトタイピング」のフェーズに分ける事が望ましい。重要なのは、ビジョンやアクションを検討する際、試作と検証を繰り返しながら完成形に近づけていく「プロトタイピング」という手法を用いる事である。プロトタイピングにより、少しづつ具体化しながら、精度を高めていく事が可能となる。

・ビジョン・プロトタイピング
現在の市場、現在の生活者の課題、現状の自社の経営を超えた、より良い未来を発想するための、あえて自社らしい最適解を経済・文化・社会の視点で検討する。この発想方法が思考にストレッチをもたらし、まだ世に無い独自性を創出する事を助けてくれる。

・アクション・プロトタイピング
ビジョン実現に向けた具体的手段を考える。まず、一度発想を膨らませて、考えられるアクションを洗い出す。時間、お金といった制約を除き、自由に発想を広げる。その後、組織の持つヒト・モノ・カネなどの有限な資源と時間軸を考慮し、実現性があり、かつ最も効果的なアクションを絞り込む。効果的なアクションについては、一度、具体的なイメージに表し、皆で共有しながら、精緻化を行う事がポイントである。

 

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