すべては統計にまかせなさい

発刊
2014年1月23日
ページ数
252ページ
読了目安
271分
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推薦者

リスクを考えるために知っておくべきこと
ビジネスにおけるリスクや不確実性を数理や統計を使って分析する専門職アクチュアリーの仕事を簡単に解説した本。ライフネット生命でリスク管理の仕事をする著者が、統計の考え方を紹介しています。


■統計でリスクを計量化する
統計というツールを用いて、数値ではないリスクを計量化する事ができれば、リスクをより客観的に扱う事ができる。そして、その数値をグラフで示す事によって、視覚的に解釈しやすい情報に変換できる。

保険会社のビジネスは、個人もしくは会社のリスクを引き受ける事で成り立つ。アクチュアリーは、統計というツールを用いてリスクを計量化する事で、死亡リスクなどを引き受けるための対価である適正な保険料を計算する。2つの保険商品を比較する場合、数値を用いた収益性の検証に加え、数値を用いたリスクの検証も行う。

アクチュアリーの仕事では、PPDAC的な思考が求められる。

①Problem(問題):個人や会社のリスクを特定
②Plan(計画):保険や年金を用いてそのリスクを移転する商品を企画
③Data(データ):リスクを測定するためのデータを収集
④Analysis(分析):そのデータを統計的手法で分析
⑤Conclusion(結論):保険や年金という商品のカタチでリスクに対応

なぜリスクを考える必要があるのか?

個人もしくは会社がリスクを考え対処しなかった場合、様々なトラブルが待ち受けているかもしれない。リスクに対処するためのアクションを起こすには、コストがかかる。ビジネスを行う上では、収益からリスクにかかるコストを控除したものを、最大化する行動をとる事が、持続可能で安定した収益を確保できる企業を築き上げる。そのためにも、リスクを見える化する事が欠かせない。

リスクを考える際に持っておきたい7つの視点

過去の経験をもとにリスクを論じても、有益な結論は見出せない。バイアスを排除し、なるべく客観的な見方をするためには、どの観点でリスクを見ているのかをクリアにする必要がある。

①最大損失:損失の最大値
②確率:ある事象の発生可能性を表す尺度
③平均損失:損失額の平均値
④ボラティリティ(ex.標準偏差):将来の不確実性を表す尺度
⑤保有期間:リスクにさらされている期間
⑥相関:2つの事象がどの程度関連しているのかを表す尺度
⑦資本:予期せぬ損失に対処するために保持すべきバッファーのお金

不確実性を描写する

平均は、統計モデルの世界では、位置を知らせる統計量と呼ばれている。しかし、平均だけでは完全な位置はわからない。そこで、中央値という集団の中央にある値も確認する。平均が集団の代表的な値を示す事もあるし、中央値が代表的な値を示す事もあるので、それを使い分けるチカラを持つ事が大事である。どちらが、リスク集団の位置を示すのかは、リスク集団の分布のカタチに依存する。この集団全体のカタチを把握するために用いられるのが、確率変数という概念である。

確率変数は、不確実性を描写するためのパワフルなツールである。例えば、自動車事故に遭遇するか否かは不確実である。この不確実性を描写しなければ、損害保険会社は自動車保険を販売する事はできない。それを可能にするのが、確率変数である。

自動車事故のようなレアな事象の発生件数を、最もシンプルな手法で表現するには「ポアソン分布」と呼ばれる確率分布に従う確率変数を用いると良い。

平均と標準偏差がわかれば、分布の全容を把握できる「正規分布」と呼ばれる確率分布もある。平均を中心とした左右対称の分布になる。

確率変数は無数にある。どの不確実性に、どの確率変数を結び付けるのかは、ある意味職人芸である。この職人芸を「モデリング」と呼ぶ。アクチュアリーは、お金に関係する様々なリスクの「モデリング」を行う統計実務家なのである。

 

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