段取りの鉄人

発刊
2012年8月31日
ページ数
237ページ
読了目安
273分
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料理の鉄人は凄かった
「料理の鉄人」として活躍した料理人の陳建一氏が、仕事の心構えや料理哲学を語っている。陳建一氏が経営する「赤坂四川飯店」で受け継がれている流儀は「どんな時でも手間を惜しまず、手作りで料理を作る」こと。

そのためには、段取りよく料理を行い、お客様にベストな状態で料理を提供することが大事であるとしている。陳氏の料理に対する心意気がわかる1冊。


■段取りは仕事の基本
料理人の世界では「段取り」はすべてのベースになっている。料理をしようと思ったら、段取りが組めないと致命的である。特に中華料理では、料理の完成から提供するまでのタイミングが重要になってくる。炒め物は出来たてが一番だから、すみやかに提供する必要がある。また、油を使う料理が多いので、冷めてくると、具に絡んでいたタレがギトギトになってしまう。

どんな職種、どんな業界にせよ、仕事をすることの基本にはすべて「段取り」がある。

どういうコミュニケーションを取れば良いかを考える

料理というのは決まった手順を踏めば、誰でも同じようなものを作ることができる。しかし、料理人に求められることは、いかに「すべて良い状態で」お客様に提供するかということ。イベントでは、そこをゴール地点にして逆算し、どういう料理を作り、どういうコミュニケーションをとっていけば良いのかを考えている。

ホールスタッフとの連携を確認しておくことは、ベストな状態で料理を出すためには欠かせない。加えて要求されるのがアイコンタクト。パッと言ったことや雰囲気で、状況を互いに察する力が重要になってくる。だからこそ綿密な段取りが必要になる。

現場を見る

一番大事なのは現場だ。現場を知らずして指示が出せる訳がない。お客様のいるテーブルで何が起きているのか、その状況を素早く把握し、次の行動を決定する。これは日頃の営業から良いタイミングで行動を起こしていけば、そのお店は自然と繁盛店になっていく。

料理人も厨房にこもって料理を作っているだけでなく、手隙の間を見計らって宴会場を見に行き、様々なことを肌で感じるべきだ。「これはこういうものだ」という机上の空論だけでは、本当の段取りを組むことは絶対にできない。

瞬時に考える

段取りを身に付けるには「考える」こと。長い経験から身に付く段取りもあるが、それより早く習得するには、考えることが欠かせない。例えば、エビチリを4人前作るのは、その場で対応できるかもしれないが、300人前と言われるとすぐには作れない。そういう時は、事前にエビをすべて茹でておくという段取りが必要となる。

この「考える」というのは、机に向かって「うーん」と考えるのではなく、一瞬で考える。現状でできる最善を尽くすために瞬時にその場に適応する。その瞬時の対応は、経験に基づく。失敗を繰り返すことで、学習することができる。

相手のことを考える

『料理の鉄人』では、料理を作っている間、司会や審査員の方が雑談しているのが聞こえている。例えば「辛いのが苦手なの」という審査員がいれば、必ず辛さを抑えめにして料理を出していた。しょっぱいものが好きな人のスープには、塩を少し多めに振ったりということもあった。少し食べにくい料理を女優さんに出す場合には、包丁であらかじめ切れ目を入れておくこともした。

料理人は料理の技術を磨くだけでなく、その先の食べる人のことを考えられるようになる必要がある。例え自分がしなければならない工程が増えたとしても、それに見合った段取りを考えるべきである。

 

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