「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

発刊
2012年4月6日
ページ数
242ページ
読了目安
278分
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日本の組織が陥る失敗の本質を知る
組織論の名著『失敗の本質』から得られるポイントを易しく解説している本。
第2次世界大戦の時の日本軍の失敗分析を現代日本の経営にも活かそうというもの。

当時、日本軍を敗北に導いた考え方や組織、文化は、現在の日本組織にも通じるところがある。グローバル競争において、競争力を失いつつある日本の製造メーカーなど、学ぶべき点がある1冊。


■『失敗の本質』とは
『失敗の本質』は、日本が約70年前に経験した大東亜戦争時の、日本軍の組織論を分析した本である。なぜ日本が負けたのかを、国力の差ではなく、作戦や組織による「戦い方」の視点から解説している。

大東亜戦争時の日本軍は初期の快進撃から一転、守勢に立ったのちは、「これまでの戦闘方法が通用しない」状態に大混乱し、突破口を見つけることができずに敗戦を迎えた。
物量や技術力の差は敗因の一つであるが、失敗の本質そのものではなく、真の要因は日本的な思考法や日本人特有の組織論、リーダーシップにあると考えられる。

戦略

日本軍の戦略性は曖昧であった。戦略が明確であれば、目標達成を加速させる効果を生み、逆に曖昧ならば混乱と敗北を生み出す。

日本軍は「真珠湾攻撃」も含めて、開戦初戦には比較的多くの戦闘で勝利した。また、太平洋の南洋諸島を、委任統治領とし多数の基地を建設した。しかし、米軍が占領したのは、25の島の内8つ。残りは放置され、戦略上の意味がなかった。目標達成につながらない勝利のために、戦術を洗練させても意味がない。

ミッドウェー作戦では、基地攻略と米軍機動部隊の殲滅とで優先順位が未設定。一方の米軍は「空母を最優先で沈める」という効果的な指標を設定していた。指標を正しく決めることが「目標達成につながる勝利」を決める。

日本人と日本の組織は「一点突破・全面展開」という流れを採用しがちである。これは、日本は体験的学習で偶然に勝利することができるためである。しかし、意識せずに発見した「経験則による成功法則」では、一時的に勝利しても、成功要因を把握できないと、長期的には必ず敗北する。

思考法

改善を続けることで生まれる洗練は、日本人が民族的文化として持つ美点の一つである。零戦の戦果を支えた要因に「パイロットの優れた技能」が挙げられる。操縦技能、射撃精度を極限まで追求した。

これに対して、米軍は「パイロットに高い操縦技能を期待しないでも勝てる」という発想転換をした。砲弾、レーダーの開発により、米軍はゲームのルールを変えた。
改善を継続することで「小さな変化」を洗練させていく日本軍は「劇的な変化」を生み出す米軍に敗れた。

型の伝承

日本組織の中には、過去発見されたイノベーションを戦略思想化し、「虎の巻」としたい欲求が存在する。「型の伝承」のみを行う組織が「勝利の本質」を伝承できていないことで、強みを劣化・矮小化させて次世代に伝えている。
体験的学習だけに依存する場合、「成功体験のコピー・拡大生産」こそが戦略だと誤認してしまう。

組織運営

日本軍の上層部、作戦立案担当者は「現場を活かす」ことが不得手であった。ガダルカナル作戦では、約1000キロの遠距離にある航空隊に攻撃を命じ、熟練パイロット、戦闘機を多数失った。

日本軍の組織運営の失敗に共通する点は2つある。
①上層部が「自分達の理解していない現場」の考えや意見を蔑視し、傲慢であった
②上層部が「現場の優秀な人間の意見」を参照しない

メンタリティ

「空気」は体験的学習による連想イメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を一つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。日本軍は、疑問を唱えることを自己抑制し、自分達は絶対に大丈夫だと楽観的な幻想を持っていた。

・都合の悪い情報を封殺して無視する
・希望的観測に心理的に依存していく

 

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