問いかけの作法 チームの魅力と才能を引き出す技術

発刊
2021年12月23日
ページ数
397ページ
読了目安
453分
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チームから優れたアイデアを導き出す手法
チームで成果を出すためには、質問に工夫を凝らし、良い問いかけをしなければならない。チームのコミュニケーションの質を改善し、優れたアイデアや意見を導き出す手法が紹介されている一冊。
研究によって、体系的に構築された問いかけの技術によって、メンバーそれぞれのポテンシャルを引き出すための実践的な方法が書かれています。

問いかけとは

問いかけとは、仕事の様々なコミュニケーション場面において、「相手に質問を投げかけ、反応を促進すること」である。質問は、投げかけられた相手に何かしらの反応を促す。選択肢を選ぶ、意見を述べる、解答を記入する、首を傾げる、わからず降参するなど、質問することで、相手は何かしらの反応を返してくれる。

投げかける質問の仕方によって、相手の反応は全く別のものになる。質問の仕方を変えることで、相手の「記憶」を喚起したり、「知識」を引き出したり、「価値観」を表出させたりなど、様々な反応を引き起こすことができる。これが問いかけの基本的なメカニズムである。

 

問いかけには「スポットライト」のような機能がある。これは、チームにおける「未知数」を照らす。

  1. 記憶の想起
  2. 記録の調査
  3. 知識の披露
  4. 情報の検索
  5. 価値観の内省
  6. 思考の停止
  7. 沈黙、謝罪

チームのポテンシャルを引き出す望ましい「反応」を狙って、どの未知数に、どのようにライトを当てると良いか、「質問」を工夫すること。これが、問いかけの本質である。

 

意見を引き出す問いかけの4つの基本定石

「良い問いかけ」とは、味方を活かす「良いパス」のようなものである。パスの基本要件は、相手がきちんとパスを受け取れること。そして次にプレイにつなげられること。すなわち、相手から「自分の意見」が返ってくることである。
チームのコミュニケーションの質を高め、一人では実現できない成果を生み出せるワークショップ型のチームを作るためには、相手の口を閉ざすだけの「取りにくいパス」を少しでも減らして、相手の意見を引き出す「取りやすいパス」を増やしていくことが、1番の近道である。

相手の意見を引き出す「問いかけ」の基本的な定石として、以下の4つのルールがある。

 

①相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する

悪い:「何でこんなことしたんですか? 前に言いましたよね?」(無能さを露呈させ、謝罪させる)
良い:「この企画で、特に大事にしたかったことは何ですか?」

 

悪い:「へぇ、そうなんですね。他には何かありますか?」(無関心)

良い:「へぇ、どうしてそう思ったんですか?」

 

②適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る

悪い:「何かアイデアはありますか? 何でも良いので、遠慮なく提案して下さい」(無闇に自由度が高い)

良い:「どんなユーザーをターゲットにしたいか、思い浮かぶ特徴はありますか?」

 

③遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す

悪い:「社長が発表した来期の戦略について、何か質問はありますか?」(重いプレッシャーを与える)

良い:「もし社長にバレないように戦略を1つだけ追加するとしたら、何を入れちゃいますか?」

 

④凝り固まった発想をほぐし、意外な発見を生み出す

悪い:「このプロダクトの利便性をもっと高めるにはどうすればいいでしょうか?」(いつも通りの言葉遣い)

良い:「不便だけど、つい使いたくなるプロダクトとはどんなものでしょうか?」

 

良い問いかけのサイクル

良い問いかけとは、次の3つの行為のサイクルによって成立している。

 

①見立てる

問いかけは、チームとメンバーの状況をよく観察することによって「見立てる」ことから始まる。メンバーが今どのような心情なのか。頭の中でどんな葛藤を巡らせているのか。チームの今の空気はどのようなものか。など、チームの状況を丁寧に観察・分析することで仮説を立てなければ、適切な問いかけはできない。

「見立てる」段階では、とにかくチームのポテンシャル発揮の鍵を握っている「こだわり」と「とらわれ」を特定することが先決である。そこで以下の4つの問いを頭に持っておくと、観察を支えるフィルターの役割を果たしてくれる。

  1. 何かにとらわれていないか?
  2. こだわりはどこにあるか?
  3. こだわりはずれていないか?
  4. 何かを我慢していないか?

 

②組み立てる

場の見立てに従って、望ましい変化を生み出す具体的な質問を組み立てる。4つの基本定石に加えて、2つのモードを使い分ける。

  1. フカボリモード
    チームの暗黙の前提、共通の価値観、1人1人の考えていることが曖昧で、チームの根底にある「こだわり」がはっきりせずぼやけている時に、解像度を高める。
  2. ユサブリモード(とらわれを揺さぶる)
    固定観念や価値観のズレなどの「とらわれ」が見えてきた時に、揺さぶりをかけて、新しい可能性を探る。

 

そして、パワフルな質問の型である次の6つのパターンを駆使して、質問を組み立てる。

  1. 素人質問:みんなの当たり前を確認する
  2. ルーツ発掘:相手のこだわりの源泉を聞き込む
  3. 真善美:根底にある哲学的な価値観を探る
  4. パラフレイズ:別の言葉や表現に言い換えを促す
  5. 仮定法:仮想的な設定によって視点を変える
  6. バイアス破壊:特定の固定概念に疑いをかける

 

③投げかける

組み立てた質問をいざ相手に投げかける場面にも工夫を凝らす。相手の注意をきちんと引き、意図が正しく伝わるように、細かな表現を調節して、質問を放つ。

問いかけの達人であるほど、質問を投げかける際に相手の注意を引くことを大切にしている。特に開始5分にどれだけ集中力を高められるかに工夫を凝らす。

参考文献・紹介書籍