影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

発刊
2007年9月14日
ページ数
496ページ
読了目安
610分
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人を動かすツボがわかる本
著者は、セールスマン、募金勧誘者、広告主など承諾誘導のプロの世界に潜入し、その経験から「承諾」についての人間心理のメカニズムを解明。人の態度や行動を変化させる心理的な力について、豊富な事例をもとに平易な語り口で解説する。

影響力の武器とは

人は手元の情報のうちのたった一つに反応して機械的に受け入れてしまうことがある。

「専門家の発言」=「正しい」
「高価なモノ」=「良いモノ」

こうした簡便法は現実に役立つことが多く経済的な手法だが、これを逆手に取って相手の承諾を引き出す影響力の武器として使われることがある。影響力の武器は以下の六つに大別できる。

返報性のルール

最初に何か与えておいて、相手からお返しを求める。
この方法が効果的なのは、返報性のルール(相手から何か与えられたら、お返しをしなければいけないという暗黙の了解)の以下の三つの特徴による。

① 幼い頃より擦り込まれているため極めて強力に働き、普通ならば判断材料となる諸要因を無視する。
② 望みもしない行為に対しても適用され、借りを作るなら誰にしたらよいかを自分で選べない。
③ 恩義という精神的負担を取り除きたいあまり、反動でそれ以上のことをしてしまい不平等な交換になりやすい。

コミットメントと一貫性

後で要請しようとしている行動と一貫する立場を最初に取らせるよう誘導することで、後の要請に同意させやすくすることができる。

・人には、自分の言葉や態度が一貫していると思われたい、という欲求がある。
・ 最も効果的な状況は、行動を伴い、公にされ、努力を要し、自分がそうしたかったのだ、と見なされるものである。
・ 結果、たとえ自身の決定が間違っていた時でさえ自己正当化し、よりその決定に固執するようになる。

社会的証明

人が判断を迫られた際、何を信じるべきか、どのように振る舞うべきかを決定する手段の一つは、他者の行動を見ることである。

・他の人々は既に要請に応じている、と告げることでその人が要請に応じるよう促すことができる。
・状況が不確かで自分の判断に確信が持てないとき、また参考となる他者が自分と類似性を持つとき、最も効果的である。

好意

人は自分が好意を感じている知人に対してイエスと言う傾向がある。
相手に好意を感じる要因は五つあり、①身体的魅力が高い、②自分と似ている、③称賛を受ける、④頻繁に接触する、⑤好ましい事象やモノとの結びつきがある、ことである。

権威

人は権威を持つ人の要請に対して、思考を伴わずに応じてしまうことがある。

・権威の単なるシンボル(肩書き、服装、装飾品)にも反応してしまう。
・服従した人は権威者の影響力を過小評価していた。

希少性

希少なものを人は価値あるものとみなす。
希少性の原理が働く理由は、①入手困難なものは実際に価値あるものが多く、入手可能性が質を判定する上で手っ取り早い、②手に入れる自由が失われかけると、より手に入れたい衝動に駆られる、ためである。