ソーシャルエコノミー 和をしかける経済

発刊
2012年9月19日
ページ数
272ページ
読了目安
390分
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ネットコミュニティを創り、育て、盛り上げるためのノウハウ
AKB48、B-1グランプリ、初音ミク、ニコニコ超会議など、日本的なソーシャルの形が新しい経済を作っている事例を紹介。日本人の文化的背景を考査しながら、コミュニティ作りの方法を解説している。


■和のソーシャル
私たちは「和」を乱すことを嫌がる。「◯◯であることの調和」を犠牲にしてまで「個」を発信することに慣れていない。だから、私たちのソーシャルは、既存の「和」をベースにしながら、どこかで「別の和」を願うものになる。つまり、自分の帰属する日常コミュニティとは別に、どこか他にも自分にとって支えになるコミュニティを築き上げたいと願う。日常コミュニティの閉鎖性やしがらみにうんざりしながらも、それでもムラ的な絆を求め、コミュニティ内に和が醸成されるほど高まりあえる構造を好む。

日本人ならではのソーシャル活用事例で、わかりやすいものが初音ミクだ。初音ミクというボーカロイドを盛り立てるために、誰もが「和」の一部となって活躍するが、中心には誰もいない。センターがあるような、ないような連帯。気に入ったものを気に入った同士で「推し合って大きくする」楽しさ。AKB48も同様である。

この仕掛ける側も仕掛けられた側も「和となって参加する」という構造、「和を仲間たちと楽しんだ後、様々な消費を起こし始める」という構造は、従来の消費スタイルとは大きく異なる。

ソーシャルエコノミーの時代

人々の欲望と共に、エコノミーのカタチは下記のように変遷してきた。

①農業経済:原料そのものの消費
②産業経済:パッケージ化された商品を提供物とする経済
③サービス経済:商品の代わりにサービスを提供物とする経済
④経験経済:スターバックスを象徴とする「上質な体験価値」を提供物とする経済

しかし、「上質な体験価値」も、ときに過剰になっていき、サービスを受ける側を飽きさせることになった。

第五の経済のカタチは「共創費経済」(ソーシャルエコノミー)となっていくだろう。「お互いがサービスしあうこと」を提供物とする経済である。

完成度や画質は二の次でいいから、安価に始められ、自分たちで共につくり、共に育て、共に騒ぎ、共に消費するタイプの楽しみ方の方が、手応えとして魅力的になった。Wiiや動画共有サイトの人気が示すように、コンテンツ自体のクオリティの高さやサービス品質だけで、人が集まる時代ではなくなってきている。

コミュニティを和にする技術

ソーシャルエコノミーは、何事も良質なコミュニティづくりから始まる。コミュニティを作るためのプロセスは次の通りである。

①まず「共益のネタ」を放つ
集めたい人が喜ぶネタを準備し、広めたくなるよう仕掛けていく。インパクトも大事だが、「どんな人たちを集めるためのネタか」という共益(集まる理由)設定を考えること。

②「同好コミュニティ」活性化のため、「宴」を催し続ける
「共益のネタ」に多くの人が集まり、長い行列ができても、直ちにコミュニティが生まれる訳ではない。集まった仲間がどのような「空気感」を醸し出すか。その空気感
づくりがコミュニティ形成の第二歩、共感である。徐々に見ず知らずの相手とも打ち解け、対話を楽しめる間柄になっていく。この様子は「宴」である。人々は宴を通して仲間意識を強めていく。

多くの勝手コミュニティは、ここでほとんど終わり、やがて消えていく。なぜなら祭りの運営は面倒だからである。生活者だけでは乗り越えていけない。

③「和」が生まれたら、「祭りのハタ」を掲げ、「同好リーグ」化を導く
単なる「仲良しコミュニティ」を超えるには、メンバーが一体となり、共通の目標に向かって大きなエネルギーを生み出していくことが必要である。機が満ちたら「◯◯大会の優勝・記録達成・成功」といった「祭りのハタ」を掲げる。ハタである大会などは、運営が大変であり企業の関与が必要となる。

④祭りの後に「裾野ソサエティ」を広め、ソーシャルエコノミーの発動を促す
祭りの開催からは、内輪だけのコミュニティ観からの脱却、外部の仲間コミュニティとの邂逅などを通じて、帰属意識を高めるといった効果を得られる。

 

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