“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事

発刊
2009年3月21日
ページ数
219ページ
読了目安
243分
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社会起業家という働き方を考える
開発途上国の食糧問題の解決を目指している『TABLE FOR TWO』を創設した著者が、事業の立ち上げから、どのように事業を展開してきたかを語っている。

マッキンゼーを経て、松竹に勤務した後、35歳で社会起業家に転身した著者の想いや苦労がわかる1冊。


■テーブル・フォー・ツー(TFT)とは
企業の社員食堂にカロリーを抑えたヘルシーメニューを加えてもらい、その代金のうちの20円が開発途上国の子供たちの給食一食分として寄付される。そのことで、貧困とメタボリック・シンドローム(メタボ)という2つの社会課題を同時に解決することを目指す。

これがTFTのコンセプトである。従来の社会貢献というのは、「持てる人から持たざる人への、善意に基づいた施し」という考え方で行われているものがほとんどであった。しかし、TFTは、寄付をする方が飽食ゆえに抱えるメタボという問題も一緒に解決してしまおうというものである。

寄付にあてる20円という金額にも無理がない。しかも、ランチの価格に含まれるので、新たに財布を開かなくて済む。「20円が開発途上国の給食一食分になる」と明確に示して、寄付する人に食糧問題にコミットしている意識を持ってもらう。

人を動かし、参加してもらうためには理念だけでなく、「やってみよう」と思わせる無理のないしくみが、生活の一部になっていることが必要である。

どのようにTFTのしくみを作ったか

TFTの活動の一番の目的は「食糧問題に関する啓蒙をして、多くの人の意識を変える」ということ。そこで、TFTを「5P」というフレームワークで整理して、しくみを作った。

①Purpose(目的・達成目標)
世界の食の不均衡を是正し、先進国の肥満と開発途上国の飢餓、この2つの問題を同時に解決する。2つの問題が同時に解決することをどうやってわかりやすく見せるか。寄付金は誰に出してもらい、どういうしくみで支援先まで届けるのか。

活動領域、活動内容、展開の方法、課題などについて、考えられる要素を列挙し、整理した。その中で以下の点から検討を加えていった。
・インパクトが大きいものはどれか
・自分たちのビジネスモデルやスキルで実行できるか
・既に先行するプレーヤーはいないか

②Partnering(提携)
TFTの目標のためには、TFTの食堂プログラムを採用してくれる企業・団体を一カ所でも増やすことが第一歩となる。

TFTのビジネスモデルは、提携する企業や団体なしには成立しない。だからこそ、提携先の相手とは同じ目線で「どうすれば良い活動ができるのか」という相談をし、強いパートナーシップを築いていかなければならない。

③People(組織・人事)
NPOなど社会事業団体の仕事は、社会問題の解決のために集めた寄付金や会費をできる限り有効活用することである。しかし、労働に応じた報酬まで放棄する訳ではない。

一般企業に比べ、事業資産や資金に乏しいNPOにとって一番の資産は人。だからこそ、正当な報酬を支払い、事業をビジネスとして成立させることを考えなければならない。

④Promotion(宣伝・広告)
TFTはかなり戦略的にブランディングに取り組んでいる。最重要視しているのはロゴと活動を一言で表すフレーズ。テレビや新聞広告を出す資金はないため、リリースなどを配布して番組や記事に取り上げてもらう、PR活動を重視している。

⑤Profit(利益・成果)
社会事業の場合、大きなスポンサーが付いているなどの特殊ケースを別にすれば、収入源は不特定多数の寄付に頼る事業モデルになる。組織や運動の名前を認知してもらい、活動の趣旨に賛同してもらえるようになるまでには、ある程度の時間がかかる。

多くの人に長く支え続けてもらうためには、積極的な働きかけが必要となる。一時の高揚ではなく、長く関心を持ち続けてもらうためには「TFTに参加することは楽しい」「世の中のためになる活動だ」という実感を持ってもらうことが大切である。

 

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