LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

発刊
2016年10月21日
ページ数
428ページ
読了目安
550分
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誰もが100年を生きる時代がやってくる
今後、誰もが100年を生きる時代がやってくる。長寿化時代においては、これまでと違った人生設計が必要とし、これからの生き方をアドバイスする一冊。

寿命100年の時代の到来

私達は今、長寿化の進行という大きな変化の只中にいる。私達は、人生の様々な決定の基準にしているロールモデルより長い人生を送り、社会の習慣や制度が前提にしているより長く生きるようになる。その変化に向けて準備し、適切に対処しなくてはならない。

平均寿命は大幅に伸びる。過去200年間、平均寿命は10年に2年以上のペースで延びてきた。今20歳の人は100歳以上、40歳の人は95歳以上、60歳の人は90歳以上生きる確率が50%以上ある。

20世紀には、人生を3つのステージに分ける考え方が定着した。教育のステージ、仕事のステージ、引退のステージである。しかし、寿命が延びても引退年齢が変わらなければ、大きな問題が生じる。ほとんどの人は、長い引退生活を送るために十分な資金を確保できない。この問題を解決しようと思えば、働く年数を長くするか、少ない老後資金で妥協するかのどちらかだ。しかし、3ステージの人生の縛りから自由になり、もっと柔軟に、もっと自分らしい生き方を選ぶ道もある。仕事を長時間中断したり、転身を重ねたりしながら、生涯を通じて様々なキャリアを経験するマルチステージの人生を実践すればいい。

既存のライフステージの限界

3ステージの生き方を100年ライフで機能させようと思えば、二番目の仕事のステージを長くする以外にない。しかし、それでは金銭面の問題は解決するかもしれないが、それ以外の重要な要素はなおざりになる。100年ライフでは、家族、友人関係、精神の健康、幸福なども極めて重要な要素である。何より、長い年数働き続けるのは、過酷だし、消耗する。

そこで、3ステージの人生に代わって登場するのがマルチステージの人生だ。例えば、生涯に2、3つのキャリアを持つようになる。まず、金銭面を最も重視して長時間労働を行い、次は、家族とのバランスを優先させたり、社会への貢献を軸に生活を組み立てたりする。

マルチステージの人生が普通になれば、私達は人生で多くの移行を経験するようになる。問題は、ほとんどの人が生涯で何度も移行を遂げるための能力とスキルを持っていないことだ。柔軟性を持ち、新しい知識を獲得し、新しい思考様式を模索し、新しい視点で世界を見て、力の所在の変化に対応し、時には古い友人を手放して新しい人的ネットワークを築く必要がある。こうした「変身」のためのスキルを持つためには、場合によってはものの考え方を大きく転換し、未来を真に見通さなくてはならない。

生涯にわたって投資が必要

人生で多くの移行を経験し、多くのステージを生きる時代には、投資を怠ってはならない。新しい役割に合わせて自分のアイデンティティを変えるための投資、新しいライフスタイルを築くための投資、新しいスキルを身につけるための投資が必要だ。人生がマルチステージ化すれば、生涯を通して投資が行われる。

3ステージの人生では、教育→仕事→引退という順番にステップを経る以外の選択肢はない。しかし、マルチステージの人生では、新しい人生の節目と転機が出現し、どのステージをどの順番で経験するかという選択肢が大きく広がる。ステージを経る順番は、1人1人の嗜好と状況によって決まる。

自分のアイデンティティこそが大切

今は、個人もコミュニティも、企業も政府も、100年ライフに対応するための最善の方法をまだ見出せていない。ロールモデルもほとんど存在しない。しかし、今生きている私達は、長く生きることを前提に人生の計画を立てなくてはならない。

アイデンティティ、選択、リスクは、長い人生の生き方を考える上で中核的な要素になる。人生が長くなれば、経験する変化も多くなる。人生が長くなればなるほど、アイデンティティは人生の出発点で与えられたものではなく、主体的に築きうるものになっていく。私達は、自分がどのような人間か、自分の人生をどのように組み立てたいか、自分のアイデンティティと価値観を人生にどのように反映させるかを1人1人考えなくてはならない。