なぜ、ぼくのパソコンは壊れたのか?

発刊
2013年5月23日
ページ数
141ページ
読了目安
162分
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長時間労働で人生を見失っている人に向けて書かれた不思議な物語
仕事漬けの毎日を送る主人公が、パソコンウイルスから受け取った不思議なメッセージを頼りに、働き方を変えていく物語。仕事と人生を両立させることの大切さを説く1冊。


■キューブの住民
今のマユクにとって、時間どおりに会社を出て帰宅する事など夢のまた夢だ。何しろマユクは、家電メーカー大手「ダイナミクス」のマーケティング・グループを統括するマネジャーとして、自分の仕事をこなすだけではなく、部下の手本となるべき立場なのだ。そもそも自分がこんなに働いているのは家族と家族の将来のためなのに、という思いが心をよぎる。

パソコンからメールの着信を知らせる電子音が鳴った。メールを開き、添付ファイルをクリックする。すると画面が真っ白になり、真ん中に黒いフォントでたった一文、こんな文章が現れた。

「きみはキューブモンスターの言いなりか?」

ウイルスが仕込まれたファイルを開いてしまったらしい。怒りをこめてキーボードを叩くが何の効果もない。その日は仕事を終わりにする事にした。

キューブモンスターの支配

翌朝、IT部の社員にパソコンを見てもらったが、ウイルスに感染した兆候など何もないという。マユクは自分のキューブ(オフィスのワークスペース)に戻り、資料作りに没頭した。すぐに昼休みになり、仕事をしながら食べようとサンドイッチを片手にファイルを開く。すると、画面に文字が浮かび上がってきた。

「今のきみはキューブの奴隷だ。独房の中で食事するのは囚人と一緒。」

思わず、片手に持ったままのサンドイッチを見る。マユクは、ランチに出ようとする部下たちに声をかけ、一緒にランチに出かけた。久しぶりのちゃんとした昼食だった。

その日の5時半になって、マユクは自分のチームに一斉メールを送り、6時から緊急ミーティングをすると知らせた。ダイナミクス社の新しいノートパソコンのブランド「ポケットブック」のマーケティング計画は、予定より遅れていた。6時、パソコンに、あの文章がまたも現れた。

「自分がキューブモンスターの奴隷だからって他の人を巻き添えにする必要ある?」

パソコンはまたシャットダウンしてしまった。部下たちに、ミーティングは朝イチにしようと告げた。マユクも帰宅する事にした。日のあるうちに帰宅するのが本当に久しぶりだと気付いた。

じぶんコーポレーション

翌日、デスクの上で新しい名刺が一箱、マユクを待っていた。マユクの名前が書いてあるが、肩書きが変だった。「じぶんコーポレーション CEO」。そして、ノートパソコンを立ち上げると、あの文章が現れた。

「ほんとのところ、誰のために働いてるの?」

夕方になって株価のチェックをしていると、株価チャートの会社名が消えて、じぶんコーポレーションという社名が浮かび上がってくる。ウイルスが送ってくるメッセージの意図ははっきりしていた。もちろんマユクは企業に勤めている。だが、それより大事なのは「自分という会社」を経営する事ではないのか。すなわち人生の事だ。

グラフは下降傾向にある。「出張に行っていたせいで、結婚記念日を祝えなかった」「仕事のせいで、休暇の予定をキャンセルした」

いつしか仕事以外の人生を、特に家族との時間をないがしろにするようになっていた。

自分とアポをとる

例のウイルスは、短期間の間にマユクの人生を大きく変えてしまった。じぶんコーポレーションの株価を上げるには何が大切か、それはわかった。問題は時間だ。

「カレンダーの奴隷になるな。」

カレンダーを見ると、「アポ:自分」といった予定が毎日入っている。他人に決められたアポイントを受け入れるだけでなく、むしろソフトを使って自分の時間を自分でコントロールすればいい。

自分の視点をもつこと。それがウイルスからマユクが得た最大の学びだった。

 

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