ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える

発刊
2013年5月21日
ページ数
318ページ
読了目安
457分
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情報の産業革命が、これから人類の未来を劇的に変えていく
ビッグデータが社会にもたらす影響の本質を論じた1冊。あらゆる人間の行動がデータとして蓄積されてきた社会において、これからはデータ分析が社会に大きな影響をもたらすと説く。


■検索データからインフルエンザ流行を予測したグーグル
グーグルでは、全世界で1日に30億件以上の検索が実行されている。グーグルはまず米国人が検索時に入力した言葉のうち、上位5000万件を抽出した。そして2003〜2008年までの季節性インフルエンザの流行に関するCDC(疾病予防管理センター)のデータとの相関関係を調べた。

人々がインフルエンザ情報を探す時は「咳の薬」や「解熱剤」といったキーワードで検索するはず、とグーグルのチームは推測した。各検索語の使用頻度と、インフルエンザ感染の時間的・空間的な広がりとの間の相関関係の有無を見ていた。グーグルは合計4億5000万にも上る膨大な数式モデルを使って検索語を分析し、CDCが提供している実際のインフルエンザ症例とグーグルの予測を比較検討した。そこで彼らは、特定の検索語45個と、ある数式モデルを組み合わせた時、データに高い相関関係が見られる事に気付いた。その結果、2009年に新型インフルエンザの危機に見舞われた際、報告手順に遅れが生じる公式データよりも、グーグルの方がはるかにタイムリーで有効な指標になる事が判明した。

ビッグデータ「3つの大変化」

ビッグデータにより、世の中の見方も社会のあり方も大きく変わる事になる。ビッグデータは、人々の意識に3つの大きな変化をもたらす。

①ビッグデータは限りなくすべてのデータを扱う
ビッグデータの世界では、無作為抽出のデータではなく、文字通り「すべてのデータ」を漏れなく処理できるようになった。従来は、数が膨大になる場合、そこから抜き出した標本に頼るほかなかった。すべてのデータが使えれば精度も高い。これまで見えなかった細部まで見えてくる。

②量さえあれば精度は重要ではない
物事を測ったり数えたりする能力に制約があると、どうしても一番大切な数値だけを優先してしまう。だから正確な数字にこだわろうとする。しかし、絶えず変化するデータが大量にある場合、何をおいても完璧な正確さをめざす必要はなくなる。ミクロレベルで見れば、若干不正確かもしれないが、マクロレベルで見れば、新たなひらめきが得られる。

③因果関係ではなく相関関係が重要になる
人間は原因がわからないとすっきりしない。しかし、重要なのは「理由」ではなく「結論」である。データ同士の間に何らかの相関関係が見つかれば新たなひらめきが生まれるのだ。
現在、アマゾンの売上全体の1/3は「おすすめ」とパーソナル化のシステムから生み出されているという。しかしサイト側は、ユーザーがなぜこうした商品や人物に関心を抱くのかなど、全く知らずに推奨しているのだ。

因果から相関の世界へ

世の中を理解する上では、ある現象について中身のある有効な仮説がなくてもいいのだ。ビッグデータを相関分析にかければ、データが答えを語り出すのである。

ビッグデータ時代が成熟すれば、相関分析による新たな洞察力が生まれ、予測の効果が高まる。過去には見えなかったつながりが見え始め、社会の複雑な力学が把握できるようになる。こうして、因果分析は主役の座を追われる事になる。ビッグデータは、物事の解釈の仕方を劇的に変える。

データによる物事の判断は、人間の判断を補完し、時に上回ることもある。これがビッグデータの最大の衝撃だろう。そのような形が普通になれば、統計学者やデータアナリストはともかく、それ以外の分野のエキスパートの影響力は弱まる。

データこそが競争優位の源泉

ビッグデータが競争力の源泉になるにつれて、産業界の構造が大きく変わろうとしている。大量のデータを持つ者は、ビジネスの素材を収集・蓄積している事になり、再利用で付加価値を生み出す事ができる。アップルが携帯電話に新規参入したのも、まさにこれが理由だ。

そして、ビッグデータは国家の競争力までも揺さぶる事になる。製造業が途上国に軒並みお株を奪われた状態では、先進国はデータとそれを活用するノウハウが競争優位の砦となる。

 

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