ハーバードが教える 10年後に生き残る会社、消える会社

発刊
2013年4月20日
ページ数
307ページ
読了目安
464分
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世界が持続的な繁栄を手に入れるために必要なこととは何か
ハーバード・ビジネススクールの100周年記念サミットに参加した世界のビジネス・リーダー達の意見をまとめ、新たな資本主義のあり方を提示。資本主義がもたらす不平等や格差、環境破壊といったマイナス面を抑え、持続的な繁栄を手にするために果たすべきビジネス・リーダーの役割を説く。


■世界の経営者が警告する迫り来る危機
最上級のビジネス・リーダー達は、世界の市場システムに対する潜在的な混乱要因として、11の脅威を挙げている。

①世界金融システムの危機が再燃
②増大する貿易の障壁(保護主義の台頭)
③不平等とその結果として発生するポピュリズム
④移民の増加による不安定化
⑤環境破壊の悪化
⑥法の支配の機能不全
⑦教育と公衆衛生の機能不全(不十分な公教育による格差拡大)
⑧国家資本主義の台頭(ロシア、中国、インド等)
⑨急進的運動、テロリズム、戦争
⑩伝染病の流行
⑪現行制度の欠陥(短期的な成果への圧力、無能、腐敗まみれの中央政府、無力な国際制度)

市場システムの構造

市場システムはうまく機能すれば、富の創出と経済成長、イノベーションという有益な成果を生み出してくれる。富の創出・蓄積の機会を個人に与え、ひいては自ら選んだ生き方を実現する機会を与える。資本主義は、個人の自由と創造性を向上させるだけでなく、社会の多様性を保証し、様々な方向への発展を促す。

しかし、市場機能の統御・調整制度がうまく働かなければ、システムは幅広いマイナスの結果を社会にもたらしうる。現在の資本主義は、所得と富の極端な格差を創り出す。自然環境に悪影響を及ぼす傾向がある。金融システムの不安定も問題である。こうしたマイナスの結果は、宗教の原理主義志向や急進主義的運動、テロ行為などの外因的な要因に影響を与える。

システムから生み出されるプラスの結果は、システムの維持に欠かせない3つの前提条件「基本的な制度」「社会・政治的な条件」「資源の流れ」を支援・強化する。他方、マイナスの結果は、外因的な要因と共に混乱状態を引き起こし、この3つの前提条件を衰退・弱体化させる。

企業は市場システムを維持するために積極的な役割を担う必要がある

では、システム全体の価値創出と持続可能性を向上させるとすれば、誰が責任を感じて行動してくれるのか?

市場システムの持続性を保証し、社会に対する貢献度を向上させたい場合に、ビジネス界は中心的な役割を果たす事ができ、かつ果たさなければならない。ビジネス界は得意分野での活動を継続すると同時に、事業上のイノベーションと政治的な積極行動主義を通じて、まずは市場システムの機能向上を、最終的にはシステムの持続可能性の向上を促進する。

市場資本主義の持続可能性を脅かす様々な問題に対処したいなら、事業活動の舞台である政策・規制・文化・社会の各環境において、周到な計画に基づいた協調行動をとらなければならない。企業は、システムを変革し、個別企業が直面する諸条件を再構築できるための制度的イノベーションに専念する必要がある。

制度的イノベーションの必要性を認識するビジネス・リーダー達は、狭義の自己利益という古い枠組みを打破しなければならない。企業の関心を上位システムにまで拡大する事ができれば、結果として個別企業にもシステム全体にも恩恵が及ぶ事になる。

現時点では経営者と取締役の多くが、戦略的意思決定に社会問題や公共政策を持ち込む事を異様な事態だと見なすだろう。しかし、このような傾向は今後是正しなければならない。これからは主要な戦略を実行する際に、システムに及ぶ影響を分析しておく必要がある。

 

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