ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか

発刊
2015年4月17日
ページ数
276ページ
読了目安
182分
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一流のリーダーになるために必要なこと
ハーバードビジネススクールの教授陣を取材し、ハーバードビジネススクールで教えられている思考様式や行動様式などを、120のルールとしてまとめている一冊。一流のリーダーになるためには、どのように物事を考え、行動すればよいのかが簡潔に解説されています。

ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか

リーダーを目指す人に向けて、世界最高の教育を施しているのが米国のハーバード大学経営大学院である。ハーバードでは一切、仕事術を教えない。徹底的に叩き込むのが、リーダーとしての思考様式と行動様式である。特に「なぜ、リーダーはそういう行動をとらなくてはならないのか」、その理由を強調して教える。「なぜ」に納得すれば自分から行動できるようになるからである。

 

表層的な仕事術ではなく、本質を教える。本質を1つ学べば、すべてに応用が利く。本質を知っているからこそ、ハーバードの卒業生は一流のリーダーとして高く評価される。

 

ハーバードで教えられていること

・失敗を許容する文化をつくる
成長し続ける組織のリーダーというのは、イノベーションを歓迎し、失敗を許容する企業文化を創造しようとする。イノベーションは1人の力では起こせない。多くの人達のアイデアを組み合わせる事によって起こせるものである。リーダーの役割は自分の意見を押し付ける事ではなく、部下が新しい事に挑戦できるような「環境づくり」をする事である。

 

・背中を押してあげる
優れたリーダーは、成長しようとする社員を全力で後押しする。世の中には「やみくもにリスクを取る人」と「全くリスクを取らない人」がいる。しかし、この2つのタイプは少数派。大半はその中間にいる人である。中間にいる人達の心は「もうちょっとリスクを取って新しい事に挑戦しようか」、それとも「そんな事をやれば減点されるからやめておこうか」と常に揺れ動いている。その人達が挑戦できるように背中を押すのが、リーダーの役目である。

 

・優秀な部下を恐れない
リーダーの仕事は部下と張り合う事ではない。部下を生かして、どんどん昇進させる事が、リーダーとしての評価を高める事になる。

 

・社内政治に参加する
優れたリーダーは、進んで社内政治に参加する。組織で働く以上、政治は避けられない。自分のチームに必要なヒト・モノ・カネを確保するために、他部署との交渉や駆け引きは不可欠なプロセスだからである。社内政治のような汚いものには参加したくないというリーダーは、まず社内の動きから取り残される。やがて部署に必要なお金や人が確保できず、無力になる。

 

・部下のマインドセットを変える
リーダーとしての最も重要な仕事は、部下を動機付け、励まし、成長させる事である。一般職であれば係長の仕事ができるように、課長であれば部長の仕事ができるように、リーダーは部下がワンランク上の仕事ができるように導いていく。その過程で最も難しいのが、部下のマインドセットを変えること。大きな仕事に挑戦していく内に、部下は現場仕事や事務作業にばかり時間を割いていては、目標を達成できない事に気づいていく。この気付きことが、部下の成長につながる。

 

・わからない事は質問する
ハーバードの教授は学生に対して、自分からよく質問する。学生もまた、教授やクラスメートによく質問する。質問するという事は、相手に対して興味を持っている事の裏返し。リスペクトを示す行為である。

 

・弱みをさらけ出す
弱みをさらけ出す事は、究極のリーダーシップ。だからこそ、一流のリーダーは躊躇する事なく「皆さん、助けて下さい」という事ができる。

 

・お金のために働かない
お金ばかりを目標にすると、お金を稼げない。お金を得るには継続して働く事が最も確実な方法だが、人間はお金だけを目標に何十年も働けない。だから結果的にお金を稼げなくなってしまう。

 

・特典のために出世を目指さない
二流のリーダーは、交際費、プライベートジェット、社用車など権力に付随する特典を目的にリーダーになろうとする。しかし、そういう人は人望が得られないため、途中で必ず転落する。権力を得たら、自分のためではなく、周りの人のために使うのが、一流のリーダーの正しい姿である。

 

・付加価値を与える
本物のリーダーは「世の中に付加価値をどうやったら与えられるか」を考えて行動する。ハーバードでは、お金は「あなたが世の中に与えた付加価値の象徴だ」と教えている。大きなお金を動かしたい、儲けたいと思うのであれば、多くの人の役に立つ製品やサービスを考えて、提供する事である。

 

・世のため、人のために働く
ハーバードビジネススクールのミッションは「世界を変革するリーダーを育成すること」である。その根底にあるのは、無私の精神と社会貢献。世のため、人のためにならなければ、信念も行動も意味がないと教える。当り前の事だが、卒業してもお金に目がくらんで道を外さぬよう、ハーバードの授業では何度もこの教訓を教える。

 

・人を思いやる
リーダーになるために部下を持つ必要などない。反対に、何千人も部下がいる役職に就いているからといって、リーダーであるとは限らない。人がついてきてくれなければ、人が動いてくれなければ、リーダーとは言えないからである。本物のリーダーは、顧客、部下、上司、家族など、自分の周りにいる人を大切にする。

 

・自分を犠牲にする
リーダーシップの本質は自己犠牲である。人間にとって最も難しいのは、我欲を捨てること。だからこそ、自分を犠牲にできる人は、周りの人から「この人は自分ができない事をやっている」と一目置かれ、尊敬される。本物のリーダーは、部下、顧客、コミュニティ、社会など、自分と関わる人達に対して責任を持ち、その人達の利益になる事だけを考え、決断を下す。

 

・変革に巻き込む
リーダーの重要な仕事は、世の中の動きに迅速に対応して、様々な事を「変革」していくこと。ところが多くの人は「変える」という事に抵抗を示す。変えない方が楽だからである。そういう人達を変革に巻き込むには2つの事が大切である。1つは、改革に消極的な人達が大事にしてきた信条を尊重すること。もう1つは、彼らが変化に適応できるよう、忍耐強く支援すること。