オーシャン・メタル―資源戦争の新次元

発刊
2012年12月1日
ページ数
228ページ
読了目安
325分
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海洋に眠る資源競争の時代がやってきた
海底にはレアメタルやレアアース、メタン・ハイドレートなどの資源が眠っている。今、陸上の資源が枯渇し始め、世界各国は海底の資源確保に注目し始めた。
海底資源の現在がよくわかる1冊です。


■強まる陸上資源の制約
世界の資源消費量が、あまりに膨大になったために、多くの大規模鉱山で資源を掘り尽くすか、鉱石の品位がますます低くなりコストアップによる経済性の低下傾向が強まっている。

世界の国々が、深海底資源に目をつけはじめた理由は、こういった陸上資源の枯渇傾向と鉱石の低品位化、膨大な量の廃棄物処理問題と共に、地域住民の土地買収と移住問題、環境保全対策そして資機材搬入、鉱石出荷設備等のインフラ設備、住民に対する補償など巨額の投資が必要になってきた事がある。さらに受け入れ側の説得にも時間がかかり、権益を取得して草の根の資源探査を始めて、生産を開始するまで20〜30年かかるケースも多くなり、巨額投資の回収リスクが増大する問題を抱えるようになった。

陸上資源には、多くの制約条件が顕在化してきたため、供給リスクが大きくなり、不安定性が増してきた。一方で世界の資源需要は膨大となり、多国籍資源メジャー同士の争奪戦、国家戦略として中国その他新興国が参戦してきた。こういった事情から、いよいよ深海底資源に手をつけなければならなくなった。

深海底には何があるのか

海底資源には、これまでの調査、探鉱で主に5種類の資源が眠っている事がわかっている。

①マンガン団塊
主成分はマンガンであるが、銅、ニッケル、コバルトなど有用金属を含む。東太平洋、ハワイ沖東南東の公海、4000〜6000mの深さの海底表面に広範囲に堆積している。各国が鉱区を取得している地域のマンガン団塊中の銅資源量は、世界需要の35年分に相当する。但し、深いところに分布している事もあり、開発の優先順位は高くない。

②熱水鉱床
含有する主な有用金属は銅、鉛、亜鉛といったベース・メタルに金、銀も含まれる。鉱床の水深は700〜3000mで、海溝にプレートが沈み込むために海底が拡大して軸にそって熱水が噴出している。

③コバルト・リッチ・クラスト
鉱床は厚さ数mmから十数cm、水深800m〜2500mに分布している。コバルト、ニッケル、マンガンなどのレア・メタルの他に銅、レアアース、プラチナなども含まれ「レア・メタルの宝庫」と言われている。

④レアアース泥
太平洋に全く新しいタイプの資源として泥状のレアアースが海底に広く堆積している事がわかった。海底資源全体としては、陸上の総資源量より多いという。

⑤メタン・ハイドレード
近年、日本近海の深海底に、わが国の天然ガス消費量の約100年分に相当するメタン・ハイドレートが眠っている事で話題に上がる事が多くなった。

オーシャン・メタルの時代

パプア・ニューギニアの領海内1600mの深海底で、銅、金、亜鉛などを採掘する、人類最初のプロジェクトが動き出した。陸上資源開発のリスクとコストを考えると、深海底が射程距離に入ってきたという事である。世界の各国が国益をかけて探査と開発にしのぎを削り、一方では多国籍資源メジャーの資金的サポートを得て探鉱会社が探査と開発準備を進めてきた。特に太平洋では、ハイテク・ゴールド・ラッシュの様相を呈し始めている。

商業生産が射程距離に入ってきたのが、パプア・ニューギニア北東側内海の鉱区「SOLWARA1」。探鉱会社ノーチラス・ミネラル社は2014年に開発・生産開始を目指している。いまや、太平洋をはじめ世界の海洋では鉱物資源の権益確保と技術的優位性確保合戦が始まっている。

オーシャン・メタルに経済性はあるのか

これまでに得られた情報によって、いま信頼性の高い経済性を評価するのは不確実な要素が多いため難しい。しかし、陸上資源は限界が見えてきた。確かにリスクは大きいが、リスクを取らないリスクが大きくなってきたのではないか。

ノーチラス・ミネラル社の「SOLWARA1 」プロジェクトの試算では、年間生産量の鉱石価値約758億円、生産コスト約75億円となり、精錬費を加えても固定費は回収できるのではないか。

 

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