7大企業を動かす宗教哲学 名経営者、戦略の源

発刊
2013年1月10日
ページ数
268ページ
読了目安
351分
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経営哲学や理念は、宗教と深い結びつきを持っている
企業の経営哲学を宗教という視点から分析した本。松下電器、トヨタ自動車、サントリー、ダイエー、ユニクロ、阪急電鉄、セゾングループの7社の創業からの歴史を紹介しながら、どのように経営哲学が形成されていったかを紹介している。


■経営哲学に対する宗教の影響
経営哲学や理念に対して宗教団体の教義や思想が大きな影響を与えている事例は少なくない。もちろん、すべての企業がそれに該当する訳ではないが、かつて海外にも店舗を出店して隆盛を極めたヤオハンにおいて、会社を大きく発展させた和田一夫氏は新宗教の「生長の家」の熱心な信者で、その教義を社是に取り入れただけではなく、新入社員の研修を生長の家の道場で行っていた。

清掃関連の事業展開を行っているダスキンの場合、その創業者である鈴木清一は、「祈りの経営」を理念に掲げていたが、新宗教の草分けの一つである金光教に入信していた経験を持つ。さらに、修養団体で、京都山科に一燈園という共同体を営む西田天香に感化され、そこに入園していた時期もあった。一燈園では「六万行願」と呼ばれる便所掃除の実践を修行として位置付けており、ダスキンの事業はその影響を受けている。

日本的経営を特徴とする日本企業は、しばしば「村」に例えられるが、宗教教団も、特に庶民層を中心に信者を獲得した新宗教の場合には、村的な性格を備えている。

松下電器産業(現パナソニック)

松下幸之助は、人間に対して、あるいは人生に対して徹底して肯定的であり、自己の利益だけを考えるのではなく、社会全体の利益を考えて行動するならば、対立や衝突を回避する事ができるとしている。

楽観主義的な幸之助の経営哲学は「水道哲学」と呼ばれるものである。何より注目されるのは、幸之助の水道哲学の成立において、新宗教の草分けである天理教の影響があった点だ。幸之助は1932年に天理の街を訪れ、建物の広大さ、掃除が行き届いている事、建物の大半が信者の奉仕によってでき上がっている事などに感銘を受ける。

天理教は「陽気ぐらし」が実現されるならば、病からも解放されると説く事で、信者を増やしていった。その教えは楽天的、楽観的なもので、十分な教育を受ける事もなく、叩き上げから松下を大企業へと発展させていった幸之助には共感できる部分が少なくなかったのではないかと推測される。

幸之助は、宗教と同様に企業には人を救う力がある事を力説した。そして、企業の目的を、人間を貧窮から救い出す事に定め、あらゆる工業製品や物資を水道の水のように大量に、安価に提供する事を目指す水道哲学を説き、企業としての松下の使命に位置付けた。

幸之助の人生を見ていくと、宗教とのかかわりは極めて深い。実家は浄土真宗本願寺派の檀家であったが、幸之助は真宗に限らず、様々な宗教とかかわりを持っていく。真言宗醍醐寺派の僧侶である加藤大観、他にも新宗教の「生長の家」ともかかわりを持っていた。さらに創価学会の池田大作との間にも個人的な交流があった。

事業部制という経営上の制度は、松下電器が日本で最初に採用したとされている。この事業部制に近い形態をとっていたのが、創価学会である。松下という企業は、様々な形で宗教の影響を受けており、その理念の核心には密教や神道の教えが位置付けられている。それが、幸之助の精神的なバックボーンになっていた事は間違いない。

サントリー

創業者である鳥井信治郎の共同出資者となった西川定義という人物は信仰熱心で、信治郎に影響を与えていく。戦時中には神仏課という部署さえ設けている。社員を採用する際に、信治郎は易に頼った。

こうした信治郎の宗教とのかかわりから生み出されたのが、「利益三分主義」である。信治郎は「利益は人様のおかげだ。1/3を社会に還元し、1/3はお客様や得意先にサービスとして返す。残り1/3を事業資金とする」と述べていた。

さらに信治郎は、恩という要素を重視し、恩を受けている者はそれを返す必要がある事を強調した。この考え方は、サントリーの社会福祉事業に結びついていく。

関西圏では、商売人はおしなべて信仰に熱心で、商売繁盛の現世利益を期待して、様々な神仏に頼ろうとする傾向が強い。

 

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