運をつかむ技術: 18年間赤字のハウステンボスを1年で黒字化した秘密

発刊
2012年9月25日
ページ数
222ページ
読了目安
283分
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18年連続赤字のハウステンボスは、なぜ1年で黒字化したのか?
HIS創業者である澤田秀雄氏が、HISやスカイマークの起業、ハウステンボスの再生について語っています。同氏の経営哲学や物事の考え方がわかる内容になっている。


■18年連続赤字のテーマパーク
ハウステンボスは、巨額の投資負担と入場者数の落ち込みが響いて長年赤字が続き、2003年には経営破綻を経験しているテーマパークである。この間何度も経営主体が代わり、金融や経営のプロたちが次々に改革に取り組んだものの、誰が手掛けてもうまくいかなかった。そのハウステンボスは、2011年9月期に営業黒字に転換した。1992年の開業以来18年間で初めての事だった。

2009年秋に最初に依頼を受けた時は、経営に参画する事など、到底考えられなかった。開業以来、どうして毎年赤字なのか。その理由、問題点が理解できて、解決法を立てられなければ、失敗は目に見えている。

最初は全くポジティブな要素が見当たらなかった。佐世保市は、首都圏からも関西圏からも遠く離れている。直通の特急電車で結ばれている福岡からでも2時間近く時間を要する。そして、九州北部の経済圏は大きくない。東京ディズニーリゾートの商圏を比較すると、ほぼ1/20だ。仮に首都圏から一度はお客様を呼ぶ事ができても、リピーターにしていくのは非常に難しい。その上、施設や設備は老朽化が進んでいるにも関わらず、お金はないのだ。

ハウステンボス再生へ

再生のポイントは2点あるように感じられた。

①今までの「オランダの街並みを忠実に再現し、オランダに行かずとも雰囲気が味わえる」というコンセプトを超える価値を創り出さねばならないこと。
②収支の改善はもちろん、これまで背負ってきた金銭面での問題を取り除くこと。

そこで、ハウステンボスが抱えてきた負債を整理してもらえるか、金融機関と交渉し、さらに九州財界からの出資で借金をゼロにした。

まずい食べ物には1円も払いたくない

ハウステンボスの場内を回ると、至るところに問題があった。まず、採算が取れずに閉鎖しているエリアがあり、まさにゴーストタウンさながら。いかにも不景気で、アミューズメントパークなのに雰囲気が暗い。入場者数はますます減っていき、テナントも撤退する。するとますます維持が難しくなるという悪循環にはまってしまった。

そこで、試しに3ヶ月、17時以降の入場料を無料にしてみた。しかし、全く入場者は増えなかった。航空券は、値段を下げれば下げるほど喜ばれる。しかし、テーマパークが提供している価値は、そういうものではなかった。お金をかけ、ハウステンボスに来て頂く事の価値を作らねばならないのだ。

今度は、700万球のイルミネーションを用意して「光の王国」を作り、ショーを用意するなど、アトラクションを充実させ、値段を引き上げた。あの手この手でお客様が楽しめる仕掛けを投入し、値上げをするたびにお客様の数は増えていった。

人々の心持ちを立て直す

新しい価値の付加と並んで重要なポイントは、経費の徹底的な見直しだった。花の仕入れ価格の見直し、不要な部署の閉鎖を行い、従業員には1.2倍速く動くことを求めた。さらに以下の新しい取り組みを行った。

・面積の1/3を入場料無料のエリアとし、リソースの選択と集中を行った
・無料エリアを新しい試みの実験場所とした(ONE PIECEのアトラクション等)
・無料エリアを観光ビジネス都市として、ベンチャー企業に開放・誘致した

施設面や運用面の改革、コストカットを進めたが、最大の問題は、従業員の気持ちだった。社員たちは「負け戦」ばかりでモチベーションが下がり切っていた。従業員から負け癖を抜くには、とにかく直接話すしかない。そこで、次の3点にポイントを絞った。

①嘘でもいいから明るく元気に
②掃除をしよう
③増収経費削減で黒字化したらボーナスを出す

経営者にできる事は、従業員に教育という形でしっかり投資を継続すること、そして熱い思いを機会があるたびに繰り返すことではないか。

皆がハッピーでなければ、ビジネスは成り立たない。お客様も、従業員も、取引先も、会社や株主も、そして地域も良くなっていくバランスを探ること。それこそが持続可能な企業の姿だ。

 

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