できる人はダラダラ上手: アイデアを生む脳のオートパイロット機能

発刊
2014年5月15日
ページ数
221ページ
読了目安
208分
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ダラダラすることがアイデアを生む!?
脳の安静時にこそ独創的なアイデアやひらめきは生まれる。現在、解明されている脳の機能を紹介しながら、時間管理に追われる現代の生活から逃れることの大切さを説く本。


■休息中に活発化する脳
科学や芸術分野の偉大な功績や歴史上最も優れた着想の多くは、根気強く働いた結果ではない事がわかる。それよりも「無為に過ごした日々に起こった大きな動きの残響」によって生じるひらめきから生まれるのかもしれない。私達が休息している時、脳神経の一部には文字通り「残響」が起こる。脳内にあるたくさんのネットワークの「中心拠点」は、私達が何もしていない時ほどより活発に働く。

私達の脳には、作業中に沈静化する領域が、休息中に活発化する事がある。これが安静時の脳活動「デフォルトモードネットワーク」である。このネットワークは同調構造を持ち、個々人による違いはほとんどなく、夢想や白昼夢に関係しているとされる。最も興味深いのは、脳を安静にする時間が多い人ほど「ひらめき」の瞬間が多く訪れているかもしれない事である。

わかってきたのは、認識、記憶、連想、思考が脳を通して新しいつながりを作るには、脳が安らかな状態になければならないかもしれないという事である。

デフォルトモードネットワーク

安静時にも脳が活動している事実がわかったのは最近の事である。神経科学と心理学の分野では、つい最近まで脳の自発的活動はノイズだと考えられてきた。しかし、このノイズが私達の「心」を理解するカギになるかもしれない事がわかってきた。

脳が消費するエネルギーの90%は、継続活動に使われると考えている。言い換えれば、脳に送られるエネルギーの大半は、安静時の脳活動、つまり内因性活動によって消費されている。

脳が安静状態に入ると、デフォルトモードネットワークが活発化して同期する。デフォルトモードネットワークの素晴らしいところは、私達が何もしないでいる時に活動が盛んになる事である。デフォルトモードネットワークが活性化すると、ネットワーク内の血流が増加して、より多くの酸素が運ばれる。ブドウ糖の消費が増え、代謝活動が盛んになる。そして、各領域の活動が連携しはじめる。

休息が記憶を固定する

脳の前頭前皮質は理論、短期記憶、感情の抑制、行動の計画、関連する情報を思い出すといった「高次」認知機能に関わっている。海馬と呼ばれ安静時に活発化する器官は長期記憶を作り、新皮質と呼ばれる別の器官にそれを保持する。新皮質に保存された記憶や情報は、前頭前皮質が必要だと判断した時に思い出される。

夜ぐっすり眠るとか、しばらく休息するとか、昼寝をするとかいった事をすると、海馬がこうした新しい記憶を新皮質に書き込む。新しいアイデアやスキルを学ぶ時は、記憶の固定が重要である。新しい情報を学んだ後は、昼寝をするか、少なくとも休息をとるのが一番いい。

こうした事が可能になるのは、前頭前皮質、海馬、新皮質の一部が情報を交換しているからである。神経細胞と脳の各領域が情報を受け渡しする方法の1つが、電気的な波動の同期である。

安静時にひらめきは生まれる

脳のオートパイロット機能とも言われるデフォルトモードネットワークは、脳の後方、中央、前方中央、頭頂の外側に出現する。領域的には、内側前頭皮質、前帯状皮質、楔前部、海馬、側頭葉、頭頂葉である。こうした領域がデフォルトモードネットワークを形成し、ハブの役割を果たす。つまり、私達が怠惰でいる時、脳内で広範囲にわたるネットワークが形成され、各領域が情報のやり取りを始める。

デフォルトモードネットワークは自己認識、自伝的記憶、社会的情動の処理、創造力に関与している。その各ノードは、私達が自分自身について考え、過去を振り返り、内省する事にも関わっている。また意識の形成にも複雑に関連している。

通常は、やるべき事に追われて忙しすぎるために交信できない領域も、脳が安静状態にある時は、デフォルトモードネットワークと接続できるかもしれない。真に独創的な着想や知見が生まれるのはそうした瞬間である。

 

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