G20の経済学 – 国際協調と日本の成長戦略

発刊
2012年1月24日
ページ数
251ページ
読了目安
329分
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世界金融危機後の世界経済をどのように維持させていくか
これまでの米国を中心とした世界経済の中で行われてきた政策協調の歴史を見ながら、世界金融危機後の変化にどう対応していくべきかを説明している。

新興国が台頭する中で、G20が担うべき役割が期待されていた。しかし、中国の政治・国内問題が、国際的な政策協調を困難なものにしていると説く。中国の抱える問題、世界金融危機の再発防止に必要な課題など、これからの世界経済の舵取りに必要な大枠を提示している1冊。


■政策協調とは
政策協調とは、主権国家同士が共通の目標のために、自国の政策に何らかの調整を行うことである。共通の目標としては、一般的には、世界経済の均衡ある持続的な成長や国際通貨制度の安定といったことが掲げられる。政策協調が必要とされるのは、国際的な経済の相互依存のために、一国の政策の効果が国境を越えて他国に及ぶためである。

主権国家はインフレを悪化させない範囲で、自国の失業率を低くすることを目標として、マクロ政策を運営する。この時、大国同士で問題になるのが、為替レートと経常収支である。為替レートの変化は価格競争力を通じて、輸出入を増減させ、経常収支に影響を与える。経常収支の黒字は自国の総需要を増大させ、自国の所得と雇用を増大させる。

1973年に主要国通貨が、変動相場制に全面移行して以来、主要国間で、為替レートや経常収支について協調的行動をとる必要が生じた。

対外不均衡の発生

1990年代、新興国における金融の自由化・国際化は、資本移動の急増と、金融のグローバル化をもたらした。この結果、バブルの膨張と崩壊を招き、アジア通貨危機を引き起こした。

アジア通貨危機を受けて、新興国では投資が減少した。このため貯蓄が投資を上回るようになり、経常収支が黒字化した。そして、外貨準備の枯渇が危機を招いたことから、各国の通貨当局は外貨準備の蓄積に励んだ。

2000年代、新興国や産油国が経常黒字を膨らませる一方、米国は経常赤字を未曾有の水準に膨らませた。

グローバル・リバランス(世界的な需要のシフト)

中国をはじめとする東アジア諸国は、ドルに対する自国通貨の上昇を回避するため、外国為替市場でドル買い介入を行った。そこで得たドルを米国債や政府債で運用し、米国の財政赤字をファイナンスした。当時、東アジア諸国は米国の輸出市場を確保でき、米国は安価なファイナンスを確保できるため、双方にメリットがあると考えられた。

しかし、これは長続きしなかった。米国の住宅バブルが破裂し、リーマン・ショック後、アジアから米国への輸出が激減した。米国では、家計のバランスシートが大きく痛み、消費を切り詰めて、貯蓄する必要が生じた。

こうして、世界最大の経常赤字国である米国が内需を削減する中で、世界経済のバランスをとるために、世界最大の経常黒字国である中国の内需拡大が求められた。10%近い高失業率が続く米国では、輸出によって雇用を創出するため、大幅な貿易赤字先となっている中国に対して、為替の切り上げを求めた。

中国内部の不均衡

中国の対外不均衡は、中国国内の貯蓄・投資バランスの不均衡を反映している。中国のGDPに対する消費の占める割合は35%前後と極めて低い。この割合は日本で約60%、米国で約70%である。

中国は政策により金利を低くおさえ、大規模の国有企業に投資を促している。一方で、中小の民営企業は銀行融資を受けられないため、内部留保を行い、賃金を低く抑えている。つまり、企業所得を増大させ、その企業所得が家計に配分されない構造、及び、医療や年金などの社会保障が未整備といった要因が過少消費につながっている。

この投資に偏った状況の中、その過剰な生産水準と輸出を維持するため、人民元を低い水準にとどめる必要がある。

G20の限界

G20サミットは、米国が中国を引き込んで、内需を拡大させ、対外不均衡を解消させることを期待して始めたと考えられる。しかし、中国は多国間であれ、政策協調よりも自国の都合を優先する傾向が強い。ここにG7時代と比べ、さらに政策協調が困難になった理由がある。

今後、新興国が台頭する中で、国際金融問題への対応には、IMFや世界銀行などの国際金融機関の役割が重要になってくる。

 

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