金持ちゾウさん、貧乏ゾウさん 仕事と人生の変わらない法則

発刊
2014年4月3日
ページ数
229ページ
読了目安
157分
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お金と人生について考えさせる物語
平和な村に突然降ってきた投資商品『ヘッジホント』。バブルとその崩壊を経験するゾウたちのお金と生き方にまつわる物語。


■金持ちゾウさん
あるところに、ゾウたちの住む国があった。その国に、カネー村という小さな村があった。ナイーゾは、おじいさんがはじめたパン屋を父親から継いで3年が経つ。しかし、これまでに仕事が楽しいと思ったことは、ほとんどない。でも、仕事をしなければ生きていけない。だから毎朝、200個のパンを焼いた。ただ、パンを焼くだけの退屈な暮らしでも、妻イレーヌと11歳の息子エンゾーの一緒にいられる事だけで十分幸せだった。お金はないけれど、平和な生活がそこにあった。あの事件が起きるまでは。

きっかけは10年ぶりの同窓会だった。高そうなスーツをバリッと着こなし、痩せたゾウがやってきた。トルーゾだった。ヤメルカ国の大学に留学し、イッタレヤ国でいくつもの会社を立ち上げ、豪邸を建てたそうだ。

トルーゾは言った。「今度、また新しい会社をつくったんだ。お金を賢く運用する投資会社でね。預けたお金が1年で2倍になるっていう新商品を扱うんだ。この話、もっと聞きたくないか? 金持ちになる一番確実な方法は、投資家になることさ。お金がお金を生み出す、ここをマスターしなくちゃな。」

ヘッジホントがやって来た

次の日、ナイーゾは、息子のエンゾーから、サッカーチームに入りたいとねだられた。しかし、お金がないため、そんな余裕はない。「神様、ぼくにお金を下さい。エンゾーにサッカーをやらせてあげたいのです」

ナイーゾの家にトルーゾから1通のハガキが届いた。このハガキがナイーゾ一家だけでなく、カネー村のゾウたちの暮らしを一変させることになる。

「投資の話なんだけど、よかったら、説明を聞きに来ないか?」

説明会では、トルーゾが世界的な天才物理学者、ナニシタイン教授が開発した投資商品『ヘッジホント』を紹介した。ヘッジホントにお金を出すと、1年でお金が2倍になる。

ナイーゾは、知らないうちに興奮していた。ヘッジホントさえあれば、自分は世界一のパパになれる。ヘッジホントは、ゴールドラッシュだった。ローンで家を建替えるゾウ、新車を買うゾウ、海外旅行に出かけるゾウが増えた。毎週送られてくるのは配当の計算書だけで、まだ一度もお金は振込まれていない。なのに、みんなお金が入ってきたつもりになって、贅沢をし始めた。

アルーゾのお金の授業

炭坑夫から身を起こし、カネー村のみならず、国中に事業を展開したアルーゾは、稼ぐのも上手だったが、惜しみなくその財産を分かち合うのでも有名だった。アルーゾは長年、村の子供たちを集めて、お金の授業を続けていた。「たくさん喜ばせたゾウがお金持ちになる」「与えた分だけしか、受け取れない」

ある日、生徒の1人だったエンゾーはアルーゾに相談した。「ヘッジホントって大丈夫なの?」 いつもは優しいアルーゾの顔から笑いが消えた。それからアルーゾはヘッジホントのことを調べ始めた。

終わりの始まり

朝早くオフィスにかかってきた警察からの電話で、トルーゾは天国から地獄に突き落とされた。ナニシタイン教授が失踪したというのだ。途中からねずみ講のようにお金をかき集めて、自転車操業をしていたが、やがてパンクし、約束の配当が払えなくなったというのだ。

ナニシタイン教授が捕まったというニュースが流れると、たくさんのゾウが銀行の窓口に押し寄せパニックになった。その頃、トルーゾはとっくに姿を消していた。カネー村の混乱はすさまじかった。

その混乱をよそに、ナイーゾの店では、なぜかパン屋に来るお客さんが増えた。ゾウたちはナイーゾの顔を見ると安心して、パンを買って帰っていった。ナイーゾはこれまでになく、パン屋の仕事に精を出した。自分には仕事がある。誰かに喜ばれ、お金がもらえる。

その後、トルーゾが捕まった。しばらくして、村のゾウたちは平常心を取り戻した。お金に踊らされるのではなく、自分の本当にやりたいことに意識を向け始めた。

 

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