プラスワン思考

発刊
2022年3月28日
ページ数
190ページ
読了目安
180分
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推薦者

マネジメントで大切なこと
歯科医院を経営する著者が、過去オープニングスタッフ全員に辞められた経験から学び、歯科医院を再建するに至った考え方を紹介している一冊。
いかにスタッフや患者さんなどの周囲を大切にし、動かしていくかというマネジメントの根本的なことが書かれています。

プラスワン思考ですべてが変わる

プラスワンとは「もう1つ」「もう1回」「もうひと工夫」といったプラスアルファの意味合いである。そしてプラスワン思考は、そういった心構えを指す。歯科医院の経営でも、トップである院長はスタッフに対して、もう1つ、もう1回、もうひと工夫の心構えで接する。同じようにスタッフはお客様である患者さんに対して、もう1つ、もう1回、もうひと工夫の心構えで接する。

目の前の物事に対して「もう1つ」「もう1回」「もうひと工夫」と取り組むのは、苦労を伴う。しかし、そこで何もしなければ現状からの変化は望めない。プラスワン思考には、次の欠かせない3つの要素がある。

 

①Pay it Forward

日本語では「恩送り」という意味になる。若手の頃、勤務先などの院長から歯科医療に関する知識や技術、ノウハウを学ぶ。その「恩」がある院長にお返しするのが「恩返し」である。一方「恩送り」とは、自分が上司の立場や開業して院長になった時、自分が受けた「恩」をスタッフに対して送ること。
つまり、自分が学び蓄積してきた歯科医療の知識や技術、ノウハウを次の世代へ伝承していくことを指す。自分が得た学びを自らの内に留めていたら、スタッフの成長は望めない。オープンにし、共有していくのが大前提となる。

 

②For You

自分以外の第三者のために物事を行う。歯科医院を経営する立場から言えば、患者さんのため、スタッフのため、という意味合いになる。上辺だけの「For You」は、患者さんもスタッフも敏感に感じ取る。その背後に潜む「For Me」を知ったら、信頼を失うことになりかねない。だからこそ、偽りのない「For You」のスタンスで臨まなければならない。

 

③見返りを求めない

自分の行動が、報われるかどうかを気にしない。報われるかどうかを気にせず、人に与え続けるのはハードルが高い。しかし、見返りを求めない行動を続けていたら、目にする景色が少しずつ変わる。

 

プラスワン思考は、歯科医院を短期間で激変させるような効果が望めるものではない。院長が第一歩を踏み出し、スタッフに浸透していくにはある程度の時間を要する。しかし、院内に根づけば着実に効果を生み、変化をもたらす。

まず必要なのは、トップである院長の意識改革である。院長が変わらなければ何も始まらない。院長がプラスワン思考に目覚めると、行動が変わっていく。院長の変化によって、スタッフの思考、行動も変わっていく。スタッフ同士で恩送りを厭わず、仲間のために尽くし、その行動に対して見返りを求めないようになる。
一方、患者さんに対しても、恩送りを厭わず、患者さんのためを思い、その行動に対して見返りを求めないようになる。

こうした思いの連鎖は、院長を中心としたチーム力を強固なものとする。互いに認め合い、成長していく環境が整う。それによって患者さんに質の高い医療が提供される。地域の皆さんへも同様の思いで貢献する。

 

理念を持ち、それを繰り返し伝える

プラスワン思考は、「プラスワン」へと自分を突き動かす原動力があってこそ成り立つ。ここでいう原動力とは、自分がそもそもやりたいこと、目的やミッション、使命を指す。一言で言えば「理念」である。理念がないと、「あと1歩」と自分を奮い立たせて頑張ることはできない。

 

自身への問いかけによって、他の誰かの意見ではない、自分の意見にたどり着くことができる。これを1度実行して終わりにせず、繰り返し行なうことが大切である。

  1. 私は何を求めているのか?
  2. そのために「今」何をしているのか?
  3. その行動は私の求めているものを手に入れるのに効果的か?
  4. もっといい方法を考え出し、実行してみよう

 

次は理念に基づいて行動を変えなければならない。この時、限られた時間の中で、自らの行動において優先順位を意識することが重要である。緊急かつ重要な最優先事項の次に、重要だが緊急ではない事項に取り組んでいく。