人類の意識と組織は進化する
歴史の流れの中で、人類は人々が集まって仕事を成し遂げるやり方を何度も根底から革新し、そのたびに以前よりもはるかに優れた組織モデルをつくり出してきた。歴史を振り返ると、人類がこれまでにつくってきた組織のタイプは、その時代に優勢だった世界観と意識にしっかりと結びついていたことがわかる。私たち人類が、1つの種として、世界に対する考え方を変えるたびに、それ以前よりも強靱な組織のタイプが生み出されてきた。
人類はあるところで突然の変容によって進化する。人類の意識が新しい段階に入ると、人々の協力体制にも大変革が起こり、新たな組織モデルが生まれてきた。
組織の発達段階
①衝動型組織集団をまとめるために組織のトップは常に暴力を行使。組織をつなぎとめるのは恐怖。環境変化に対して極めて受動的で、短期志向で混乱には強い。
②順応型組織
ピラミッド型の階層構造に適用される極めて型にはまった役割。トップダウンによる指揮命令。厳格なプロセスにより何よりも「安定」が重視される。未来は過去の繰り返し。
③達成型組織
目標は競争に勝つこと。利益を獲得し、成長を目指す。前進するための鍵はイノベーション。目標達成のための経営。
④多元型組織
古典的なピラミッド組織の中で、文化と権限委譲を重視して、従業員のモチベーションを驚くほど高める。
組織の発達段階を決める要因は、リーダーがどの段階のパラダイムを通して世界を見ているかによる。
進化型のパラダイム
人の意識と組織に対する認識の連続的な発達段階は、加速しており、この先、1〜2段階先の組織が現れるかもしれない。人間の進化における次の段階は、マズローの「自己実現の欲求」に相当し、進化型(ティール)などと呼ばれてきた。
意識レベルが一段高くなると、世界をより広い視点から眺められるようになる。新しい視点を得るためには、それまで自分が埋没していた環境から自己を切り離さなければならない。例えば、自分の欲求を衝動的に満たそうとする状態をうまく抑えられるような慣行や仕組みを習得すると、衝動型から順応型に移行する。また、自分の属する集団の決まり事を拒否するようになると、順応型から達成型に移行する。私たちが自分自身のエゴから自らを切り離せるようになると、進化型への移行が起こる。
進化型では他人から認められること、成功、富、帰属意識は快楽的な体験であり、エゴを充足させる甘酸っぱい「罠」と捉えられる。そのため、以前の段階とは対照的に優先順位が入れ替わる。良い人生を送るためには他人からの評価や成功、富、帰属意識を求めず、充実した人生を送るように努める。
ティール組織の特徴
進化型のパラダイムを持つ人が増えるほど、進化型組織が増えていく。進化型組織は次の3つの突破口を開く。
①自主経営
大組織にあっても、階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性の中で動くシステムである。
②全体性
精神的な全体性が呼び起こされ、自分をさらけ出して職場に来ようというきにさせるような、一貫した慣行を実践している。
③存在目的
進化型組織はそれ自身の生命と方向感を持っていると見られている。組織のメンバーは、将来を予言し、統制しようとするのではなく、組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け、理解する場に招かれる。