何が背中を押したのか
僕らは何か明確な理由があって、毎度商品を買っているワケではない。実は、パッケージが気に入ったり、広告に触発されたり、友人からの口コミでものを買うケースは稀。多くは、買う直前「5秒前」に正体不明の何者かに背中をドンっと押され、僕らはものを買っている。僕らの日々の買い物の決定権は「買う5秒前」が握っている。そして、その正体はあまりよく分かっていない。一般には、人々の購買動機は6つに大別されるとも言われる。
①必要:いわゆる生活必需品。もしくは安心・安全のための必要経費
②お得:安い、おまけがある、儲かるからという理由で購入すること
③好み:嗜好品や趣味。美・健康・便利・快適・余暇など、生活に「+α」をもたらす消費
④流行:流行りものに乗っかる構図。皆が持っているから
⑤見栄:ブランド品や高級車など、世間体を気にしての購買
⑥義理:仕事上の付き合いや、友情で仕方なくというケース
とは言え、現実にはこれら6つの購買動機には収まり切らない事の方が多い。「これ、なんで買ったんだろ?」と自分でもわからない買い物をする。それはまさに買う5秒前、「7番目の動機」である。
本能
食べる、寝る、恋をするといった人間の根源的な欲求から、さらに一歩踏み込んだもの。ちょっと背伸びをしたり、「普通」を好んだり、黒色に高級感を抱いたりするような感覚。アップル製品のように、マニュアルなしでも自然と操れる感覚、そんな人間本来の「直感」にアプローチすると、彼らは落ちる。
・背伸びしたい(下の年齢層が購入する「AneCan」)
・人は無難な答えを選ぶ(レストランのBコース)
・黒に惹かれる(新宿マルイの黒いスターバックス)
・頭文字Aに惹かれる(AKB48、ARASHI、Apple、Amazon)
・ハードルを求める(リアル脱出ゲーム、東京マラソン)
ソーシャル
SNSの普及で、彼らはもう1人じゃない。以前は受け身一辺倒だった彼らは、ソーシャルを通じて、いつでも表現したり、発信できる術を身に付けた。その辺りのココロを刺激すると、彼らは乗ってくる。
・小ネタが欲しい(話題性を求めるブロガー)
・応援したい(福島県産の青果物フェア)
・作り手になりたい(AKB48の選抜総選挙)
・リアル体験に惹かれる(夢のウマすぎグルメ祭り)
逆張り
人は案外、あまのじゃくな生き物。人は予想に反して逆の事をされても、それが案外心地良いと、いとも簡単になびいてしまう。新しい事を期待されたら、あえて古いことを。
・嫌いが好き(せんとくん)
・怖いもの見たさ(スライム肉まん)
・第2集団が好き(SKE48)
・昔ながらのに弱い(昔ながらのコロッケ)
ボーダレス
男女の壁、大人と子どもの壁、オタクと非オタクの壁、日々、様々な壁が壊され、新しい世界が生まれている。そんなボーダレス時代には、まず、これまでの常識を疑ってかかること。
・男子レス(ホルモンヌ)
・オタクに憧れる(ブラタモリ)
・ひとり時間が好き(ひとり焼肉、ひとりカラオケ)
・勝ち組の脇役に弱い(カープ女子、オリ姫)
シンプル
アップルのデザインに多大な影響を与えたディーター・ラムスの「良いデザイン」の10カ条の1つに「良いデザインは可能な限りデザインをしない」というのがある。つまり、小さなデザインをするなということ。アイデアも同じである。人々に訴える秘訣は、小さなアイデアを盛らないこと。
・「1+1」の魔法に弱い(ビックロ)
・絶妙なネーミングに惹かれる(GOPAN)
・歳時記が好き(恵方巻)
・理由を知りたい(円高還元セール)
人間力
マニュアルとか計算外の「人間力」。結局、人間の魅力が一番。
・下積みに惹かれる(Perfume、AKB48、EXILE)
・物語に惹かれる(梅田彩佳)
・哲学に弱い(俺のフレンチ)