ミドルシニアのための日本版ライフシフト戦略

発刊
2021年10月8日
ページ数
216ページ
読了目安
233分
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ぼんやり定年まで働けない時代に必要なこと
終身雇用が崩れてきている現在において、自律的なキャリア戦略が必要である。ミドルシニアが定年後も活躍できるようにするために必要なことが解説されています。
ミドルシニアが自らのキャリアを振り返り、これからどうすべきかを考えるきっかけとなる内容です。

学び直しと人生後半のキャリアを常に考えよ

現在、終身雇用のパターンはかなり崩れてきている。ミドルシニアがぼんやりと何も考えずに会社に勤務し、そのまま60歳を迎えた時にどのような選択肢があるか。1つの選択肢は定年を延長して65歳や70歳まで働くこと。この場合、役職定年を迎えて年下の上司に仕えるようになった後も、社会や会社に価値を提供し続けられるスキルやネットワークを持っているのかが問われるようになる。
一方で、今までの会社を退職して別の道を歩むという選択肢もある。しかし、60代からの3大就職先はマンション管理人、清掃、工事現場での交通誘導とも言われている。これでは20代から40年近く培ってきたキャリアを全く活かすことができない。

 

このような状況は「学び直しができていない」という日本の状況を反映している。コロナ禍で在宅勤務が広まる中で、「働くこと=会社に出勤すること」ではなくなった。「何の仕事をしているのか」「どのような価値を提供しているのか」といった点について見える形で成果を出さなければ埋没してしまう時代になった。学び直しが当然、重要になる。

60歳までに学び直しをすることはもちろん、今後のキャリアの選択肢として「自分には何があるのか」ということを常に見つける努力をしておくことが必要である。

 

人生三毛作としてキャリアを考える

ここでは発想の転換が必要である。20代から30代をファーストキャリア、40代から50代をセカンドキャリア、60代以降をサードキャリアと考える「人生三毛作」として考える。40歳というのは会社におけるキャリアでも経験が蓄積され、肩書もそれなりについて、脂がのってくる頃である。その時期に無理をしてでも一旦自分のキャリアに区切りをつけることが得策である。40歳前後で退職して別の会社に転職するのもありだし、同じ社内にいたとしても違う部門や職種、あるいは国内外の関連会社に出向するなど、新たな挑戦をして幅を広げるのもありである。

この40歳で区切りをつける「バーチャル定年」までのファーストキャリアは、セカンドキャリア以降の土台として使う。そういう意味で、このバーチャル定年は、「仕事を通して自分がどのような価値を生み出しているのか」を自らに問うきっかけになる。

 

60代以降のサードキャリアでもしっかりと企業内で活躍していこうする場合、自分の存在意義を再定義すると同時に、それを現実化するための手段が必要である。そのためには、ベテランロールを見つけることである。

  • レジェンド(生き字引):専門家、職人、長い歴史を語れる存在
  • コネクター(世話人):長いキャリアで培った人的ネットワークをもとに若手に人脈を紹介したり問題を調整する
  • イノベーター(永遠の開拓者):第一線では賄いきれない案件を中長期的な視点で扱う

 

60歳以降は、企業に残らないと考える場合には、早い段階からキャリアを考えていく必要がある。社外でプロとして通用するためには準備が必要であり、早めに決断する必要がある。

 

ライフシフトに踏み出すために必要なこと

変身資産とは、自分が変わろうとするきっかけや原動力となるものである。

  1. マインド:変化に対して前向きでいる精神力
  2. 知恵:変化を読んで活用する実践力
  3. 仲間:変化の中で助け合って知を生み出す友
  4. 評判:変化の中で埋没しない信頼とアピール力
  5. 健康:変化を乗り切る基礎体力

 

これらの変身資産は時間をかけてしか養われない。そのため、最も効率的に養うには、今の仕事をしながらこれら5つの変身資産を培っているという目的意識を持ち、常に棚卸しすることが重要になる。

特にこの変身資産を伸ばしていくために必要なドライビングフォースが、次の5つである。

①マインドセット

外部環境の変化が激しい中で、従来と同じ考え方でいることは大幅な後退になる。少なくとも時代の変化に追随する意識を持って行動変容が求められる。

 

②ミッション創造

これから人生100年&現役80歳時代を生きるためには、たとえ雇用されて働いているとしても気持ちは「自分会社」を経営するマインドを持つ必要がある。そして、自分会社のミッションを創る必要がある。会社も個人も「あるべき姿」のない活動は継続しない。

 

③学び(リカレント)

予想しなかった変化に柔軟に対応していくために必須の力が自律的キャリアデザイン構築力であり、常に学び続ける力である。これからは積極的かつ継続的に自分に投資し、変身資産を蓄積していく必要がある。

 

④見える化

せっかく創造したミッションも学びの結果も「見える化」されていなければ行動の変容につながらないし、外部にも伝わらない。

  1. 自分のキャリアで「ケース」を作成する
  2. 「自分会社」の紹介パンフレットを作成する
  3. 自分というタレントを売り込むことを考える

 

⑤マルチ化

マルチ化には、次の3つがある。この3つを常に意識して計画を実行していく必要がある。

  1. 「経験・知識・スキル」のマルチ化
  2. 「人脈」のマルチ化
  3. 「収入源」のマルチ化
参考文献・紹介書籍