スグできる! 人材定着25の実践ーもう誰も潰さない! 辞めさせない!

発刊
2020年10月1日
ページ数
200ページ
読了目安
275分
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推薦者

従業員を定着させるカギ
人を採用してもすぐ辞めてしまう会社の特徴や、人を定着させるために必要な考え方や具体的な方法が書かれている一冊。気づかない内に、人が定着しないような労務を行なっている可能性がある人事や経営者が読むべき内容が書かれています。

従業員を定着させるカギ

従業員の定着を考える上で重要なのは「人は理屈では動かず感情で動く」ということである。賃金などの労働条件は、世間相場と比べて遜色ないのに定着が悪かったり、逆に労働条件はそうでもないのに定着が良かったりするのはそのためである。労務は人の感情を相手にするから、会社が行う定着策も「何をしたか」というより「誰がしたか」、そして、従業員がそれを「どう感じ取ったか」で結果が決まる。

労務というのは営業の仕事に似ている。従業員は内部顧客とも言われるが、その内部顧客と人間関係をつくることが、定着を含めた労務の神髄だからである。また、労務は経営の根幹をなすものであり、担当者である一従業員の思いだけではどうしようもなく、トップの取り組み方が鍵を握る。トップが「定着させる」と腹を決めたら、一度や二度の失敗に一喜一憂することなく、人をトコトン大切にすること。そして、働く人が「会社から大切にされている」と感じるようになれば、その会社のために働き続けようと考えるので、自ずと定着は良くなる。

 

新入社員を3年間定着させることは重要だが、同時に3年以降も会社の求める人材になってもらうための基礎固め期間でもある。ここがおろそかだと後々の軌道修正が難しく、正社員らしくない正社員になったりする。将来の成長を期待すればするほど、採用後3年間の基礎固めが重要になる。

 

3年目の離職を防ぐ

「新卒の3割が3年以内に離職する」と言われているが、中途採用の場合はそれ以上である。3年目離職の対策としては1、2年目が重要になる。特に中途採用の場合はそれぞれの抱える事情もあり、個別・迅速な対応が必要である。

 

入社1、2年で退職する理由としては、目標と責任の重さ、家庭での立場、そして他社の引き抜きなどが考えられる。ポイントは退職を切り出される前に手を打つことである。駆け引きではなく、本気で退職を申し出た人に引き留め策を打ったところで、退職を思い留まる可能性は低い。

 

・目標や責任を負わせるのはほどほどにしておく

小さな会社で中途採用だと、入社直後から既存の従業員並みに目標や責任を負わされるかもしれない。しかし、これも度を過ぎると会社への帰属意識が薄れて個人プレーに走りやすくなる。また、人によってはそれを重圧と感じて心身を病んだり、辞められてしまうこともある。そのため、3年目くらいまでは、主に先輩社員の後方支援をさせる。急ぐ時こそ「急がば回れ」である。

 

・家庭での立場を優位にさせる

従業員に自社を優先して欲しいなら、家庭内で優位に立てる賃金を払う必要がある。中途採用の場合は、既婚者も多いのでなおさらである。一般的に家庭内での力関係は経済力に比例する。今後も働き続けるかどうかは、家庭内で優位に立つ人の意向が強い。そこで考えられるのが働きやすさ、子育てのしやすさを前面に出すことである。

 

・他社からの引き抜き

引き抜きを防ぐには、引き抜かれる会社より少しでも自社に魅力があることが必要である。賃金だけでなく社内の雰囲気の良さも影響する。本当に優秀な人は、どこに行っても優秀なので他社からの引き抜きもある。

 

3年目離職対策に特効薬はないが、身近にいる先輩社員は良くも悪くもお手本である。中途採用の場合、年齢はまちまちだが、1、2年後の自分の姿を映し出す存在なので、ここで辞めるか働き続けるかを判断する場合に重要である。たとえ会社から立派な青写真を見せられても、日常的に接する先輩社員を見れば明日の自分が見える。

 

あたたかな厳しさを持つ

採用から退職に至る根っこには、思いやりのある厳しさが必要である。定着の良い会社に共通している雇用姿勢である。それは、従業員に「自分は会社から大切にされている」と、感じさせる経営である。単に従業員を感情的に優しくするだけではなく、優しさ八分に厳しさ二分くらいが良い塩梅である。採用や定着の過程においても、やるべきことは厳しく行い、何かの時はあたたかく受け止めるということである。定着の悪い会社は、やるべきことが甘いから、何かの時に冷たい対応をする羽目になる。