世界標準の資産の増やし方 豊かに生きるための投資の大原則

発刊
2024年8月21日
ページ数
216ページ
読了目安
362分
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資産運用の基本
ファンドマネージャーである著者が、資産運用方法について、その考え方とポイントを紹介している一冊。
ダメな銘柄の見極め方から、投資信託の選び方、投資の大原則まで、一冊で投資のことがよくわかります。

インフレ時代には、現金の価値が目減りするとし、資産を守るという考え方から、効果的な資産運用の必要性を説いています。

インフレ時代こそ資産運用が必要

海外ではインフレが運用の大前提になっている。日本では運用は儲けるための「投機」と思われているが、海外では資産を守るために必須な「投資」として捉えられている。

日本人が好きな現預金や債券はインフレ時に弱いという大きなデメリットがある。現金は額面上は減ることがないが、物の値段が上がり、紙幣の価値が下がると生活を維持することが少しずつ難しくなる。また、大部分の資産を日本円の預金をしている場合には、円安は大きなデメリットになる。

 

投資の大原則

投資の大原則は「誰かがよいと言ったものを鵜呑みにして投資するというのはダメ」ということ。自分で「理解をし、納得し、投資をする」という行動自体が重要である。これをしないと、いつも中途半端に誰かの意見に従うことになり、儲けは小さく、最悪の場合には後追いばかりになり、損が大きくなってしまう。

投資の世界では、基本的に原則はあっても正解はない。その時、正しいと思えるものはあっても、それは変わる。そのために答えだけを聞いてはいけない。とにかく儲けようと思って手法だけを学び、「儲かっている」と言っている人の意見を聞くのは危険である。

 

ダメな会社を避ける

「こうすれば成功する」というものを多くの人は求めがちである。しかし、投資においてはそれ以上に「取り返しのつかない損をしないこと」が重要。つまり「ダメなものに投資しないこと」が重要である。

成長する会社を探しても、予想通りにならない時もあるが、悪い企業の特徴ははっきりしている。そして、よくない会社が急に良くなることは少ない。投資する側は悪い商品の特徴をしっかりと理解して、それを避けることが重要である。

 

ダメな銘柄を見つけるには、まず最初に上場企業を以下の6つに区分する。

①構造的に成長している会社
その会社のビジネスモデル自体が強固である必要がある。多くの場合、バリュエーションも高く、参入障壁を築けており、競争優位性を維持できる。

②景気循環に沿って業績が変化している会社
景気変動に伴いながらも長期的に成長している「シクリカルグロース」と言われる企業と、単に景気循環の影響を強く受ける企業がある。

③割安に放置されている会社
ビジネスモデルをしっかり理解すれば、隠れた優良企業を見つけやすくなる。

④成長率も割安さの面でも際立った特徴のない会社
大半の日本企業が当てはまるが、このような銘柄は個人投資家があえて長期で保有する必要はない。

⑤産業的にシュリンクしている会社
長期間にわたり、じわじわと売り上げや利益率が低下している企業群。

⑥構造的に株式投資家の期待値に達することが難しい会社
公益企業など規制面で利益率が一定の範囲に抑えられるなどの理由から、構造的に株式市場が期待するリターンを確保することが困難な企業。

 

①②③は全て投資のチャンスはある。⑤⑥は個人投資家で長期投資をするには適切ではない。ダメな銘柄に引っかからないためには、株価を見るのではなく、その企業だけを見ることである。そうすれば、大体ダメな銘柄はわかる。

 

長期投資のマインドセット

資産形成で必要なのは長期でのリターンである。長期でリターンを得るための知識は、短期リターンを得るための知識とは異なる。また、長期のリターンは短期のリターンの積み重ねと考えるのは難しく不安定である。

短期は運、長期は理屈。長期投資で優れた手法は、日々努力して積み上げるやり方ではなく、常に余裕を持って、楽をしながら利益が積み上がるというのが理想である。

 

経済情報の中には「価値に関する情報」と「価格に関する情報」がある。「価値に関する情報」とは、その会社の本質的な価値が増加するか減少するかのヒントとなるような情報。「価格に関する情報」は、その日の株価が上がりそうか下がりそうかといった情報。重要なのは「価値に関する情報」である。プロの長期投資家は、様々な情報の中から「価値に関する情報」を抽出している。

 

資産運用の基本

常に儲かる資産や名側を当て続けることは困難である。何か1つに投資して取り返しがつかないような大きな損失を避けるためには、様々な資産に分散投資をすることが重要になる。

 

資産運用の世界では、リターンの変動の大きさ(ボラティリティー)をリスクと捉えることが一般的である。機関投資家はリターンの絶対値だけでなく、リターンとリスクの対比で効率が良いことを重視するので、特に分散投資を重視する。分散投資には以下の方法がある。

・資産・銘柄の分散:特定の資産や銘柄の間で生じる価格変動のリスクを軽減する。

・地域の分散:経済状況や成長率が異なる地域の資産を組み入れる。

・時間の分散:一度に多額の投資を行うことを避ける。

 

適切に分散させるのは簡単ではない。保有資産全体に対して、リスクとリターンの面で効果的な資産かどうかという視点で購入を検討することが大切である。