超ミニマル・ライフ3原則
「シンプル」が、簡素化して特徴を無くした状態なのに対し、「ミニマル」は、極限まで削ぎ落とすことで、ある特徴を際立たせることを指す。ミニマル・ライフとは「労力・時間・お金=コスト」を最小限に抑えて「自分のリソース」を最大化し、その全てを一番大切なことに集中投資する一点豪華主義な生き方のこと。
超ミニマル・ライフとは「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、自分の可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のことである。この技法は次の3つの原則に集約される。
- 体・脳・心の負担を最小化して「パフォーマンス」を最大化する
- 仕事と家事を超時短して「自由時間」を最大化する
- お金・仕事・人間関係の不安をなくして「幸福度」を最大化する
手放すことで苦境から抜け出せる
まず最初に理解しておくべき絶対ルールは「選ぶことは手放すこと」である。人が何かを得る時、必ず何かを手放さないといけない。
「時間」とは「命」。人生の締め切りは予告なくやってくる。なのに、なくてもいいモノを買うため、どうでもいいコトを得るために、限りある「時間」の無駄遣いをする人が多い。家を埋め尽くすモノ、見栄のためのブランド品、余計な情報、他人の評価やステータス、そんな無用の長物を得るために際限なく稼ごうと必死に働き、重いストレスと疲労に苦しむ。
苦境からもシステムからも脱却するには「減らす」「手放す」「軽くする」「削ぎ落とす」といった引き算をするだけ。暮らしと仕事をミニマルにするだけである。足し算は多大な労力を要し、莫大なお金がかかる上に終わりがない。自分に「無いもの」ばかりに目を向けるのはやめること。そのためには、意識を自分の「内」に向け、一番大切な「すでにあるもの」に気づく必要がある。
人生100年時代に必要な考え方「ロングスロー・ディスタンス思考」
最小限の装備だけを背負い、誰とも競争せず自分のペースで歩き続ける「ロングスロー・ディスタンス」。これこそが、人生100年時代に必要な考え方であり、システムとの決別の鍵を握る。不要な荷物は背負わず、必要最小限の装備は身につけて、快適な身軽さを維持し続ける。評価は気にせず競走もせず、組織や社会にも振り回されず、いいペース配分を守り続ける。
「快適な身軽さの維持」と「自分なりのペース配分」を徹底することで初めて、安定的なパフォーマンスを維持できる。そうやって「小さな成果」を重ね続けることが、ロングスロー・ディスタンスの真髄である。誰も気づかないような「小さな成果」をコツコツと積み上げていると、その中の1つが必ず「大きな成果」を引き起こす。これこそがブレイクスルーと呼ばれる現象である。
お金と働き方の不安から逃れる
強力な心のセーフティネットに「ミニマム・ライフコスト」というマネー哲学がある。この考え方を持って生きることが「お金の不安」から自由になる唯一の道である。
まず最低1ヶ月、できれば3ヶ月かけて「ライフコスト=生活費」を100円単位で計算する。そこから2ヶ月かけて、ライフコストをさらに減らす。お金の使い道を「投資・消費・浪費」に分けて考え、「消費」は極限まで減らして「浪費」はゼロを目指す。ただお金をケチる「節約」ではなく、自分の価値観で大胆にメリハリをつけてお金を使う選択をする。
こうやって身軽さと生活レベルを維持し続けていると、いつでも人生をリセットして、迷わず新しいライフステージに向かえるようになる。例えば、転職や起業、フリーランスにシフトしたり、夢に挑戦する時、「最低限これだけあれば生きていける」とわかっている人間は強い。
そして、仕事で大勝負すつ時、将来のために大きな一歩を踏み出す時のために「ポジティブエスケープ」を確保しておく。ポジティブエスケープとは、自分を守るため、大きな挑戦をするために準備しておく前向きな逃げ道のこと。逃げ道があるからこそ、精神的に辛い状況を乗り越えることができるし、思い切った挑戦ができる。
「ミニマム・ライフコスト」と「ポジティブエスケープ」は、攻めと守りの両方を兼ねる、人生の2本柱である。
増やす先には幸福はない
「これさえあればいい」というミニマル・ライフは、不安と焦りを取り除き、時間のゆとりと心の平穏をもたらす。これは「大切なことを、大切にできる人生」をデザインするための秘訣である。
モノ、情報、人間関係、ストレス、そして肉体と自然環境への負荷、全てが過剰の現代において、この問題を解決する方法は「ミニマル=足るを知る」技術を習得することである。「足るを知る」境地を手にするためには、自分の身の丈を把握しなければならない。その身の丈の基準は人それぞれである。余計なモノを手放し、不要なコトを捨ててミニマルを目指す過程で「あ、このあたりが心地いい」という身の丈ポイントが必ず見つかる。