暗黙のルール
上司が口で言わなくても期待している物事の進め方、優秀な社員が意識せずに行っている仕事のやり方など、仕事の「暗黙のルール」にうまく対処していくことは、キャリアの成功にとって極めて重要である。キャリア構築という勝負において、勤勉さは入場料に過ぎない。この勝負で生き残り、成功するためには、勝負のルールを知る必要がある。
①ルールを拒否するか、受け入れるか、曲げるかを決める
自分はどのルールに納得がいくか、どのルールが自分の価値観に反するかを考えなければならない。そして、それぞれのルールを拒否するか、受け入れるか、曲げるかを自身で決める。注意すべきは、正しいことと上司の好みに合うことは違うということ。上司のフィードバックが有効で受け入れるべき場合もあれば、無駄なフィードバックで、さりげなく無視すべき場合もある。それを見極める。
②全体像を見る
新しいチームに入る時は、チームの仕事、その目的、サービスの提供先、最近の動き、競合他社、重要な関係者、チームや組織の目標達成のために果たすべき自分の役割をよく調べること。
③下調べと準備をし、その努力を周りに示す
何か聞きたいことがある時に、すぐに誰かに頼ってはいけない。まずはメールやファイルに目を通し、オンラインで検索すること。それでも答えが見つからない時は、質問をまとめて、周りの人に尋ねる。なぜ疑問に思ったのかを説明し、解決するために自分で何をしたか、その努力を伝える。
④主体的に考える
重要なのは積極的に行動すること。誰も挨拶してくれなければ、自分から挨拶する。誰も情報を教えてくれなければ、自分から情報を集める。誰も仕事を与えてくれないなら、自分から仕事が欲しいと言う。自分なりの提案をするのもいい。課題ではなく、解決策を提案する。
⑤学びたい、力になりたいという気持ちを示す
新しいチームやプロジェクトに入った時、質問することを期待されている。だが、時が経つにつれて、仕事を理解し、有意義な貢献を期待されるようになる。自分は今どちらなのかを踏まえた上で行動すること。「質問はありますか?」と聞かれたら、「はい」と答えなければならない。そのために、いつも質問や意見を用意しておくこと。
⑥自分と相手を理解する
人が自分に対して抱くかもしれない偏見に気を配り、そうした偏見に対処する。そして、周りの人たちをよく知ること。話をする時や文章を書く時は、聞き手や読み手に合わせてメッセージを変えなければならない。最適なタイミングで最適な人を見つけることも重要だ。
⑦意図と効果のズレに対処する
人とやり取りする場合、意図(人にどう伝えるつもりか)と効果(実際にどう伝わるか)は同じにならないと理解する。自分がどう誤解される可能性があるかを自覚すること。
⑧先回りして考える
上司に頼まれるかもしれない仕事を考え、その準備をする。二次的、三次的な影響を考慮する。何かを支持されたら、先回して考える。
⑨最終目標から逆算して段取りを立てる
自分が何を達成しようとしているのかを理解し、最終目標までのすべての段階と期限を考え、逆算して段取りを考える。何を、どのように、いつまでに行うべきかを明らかにする。
⑩パターンを把握する
同じ間違いを繰り返してはいけない。相手に同じことを二度言わせてはいけない。そして、同じ質問を二度してはいけない。パターンを探すことが重要だ。
⑪緊急かつ重要な仕事に優先的に取り組む
「締め切りが最も早く、多くの人々が関係し、大きな問題を引き起こし、時間とともに状況が悪化し、自分の中心的な職務であり、重要人物から見て最も重要な仕事」を優先する。与えられた時間を踏まえて、人が何を期待しているかを見極める。
⑫人間関係を観察し、把握する
職場の指揮命令系統、個人の役割と責任範囲、好ましいとみなされる行動、社員同士の絆を意識する。
⑬やんわりと伝える
人に助けを求める時は、要求ではなく、お願いすること。相手に断るチャンスを与えなければならない。また、誰かの意見に賛成できない場合は、批判ではなく、建設的なフィードバックとするため、「〜かなと思うんですが」といった表現を使う。
⑭パフォーマンスとポテンシャルを示す
パフォーマンス(現在の仕事でどれほど成果をあげているか)とポテンシャル(今後の仕事でどれほど成果をあげる可能性があるか)に基づき評価されることを理解しなければならない。ポテンシャルを示すためには、任された仕事以上のことに取り組み、誰も行っていない仕事を行い、未解決の問題を解決し、人が知らない知識や情報を取り入れ、共有することが大切だ。