高速学習に必要な3つの基本要素
効率的な学習=高速学習を実現する上で、UCLAの指導教官から指導を受けたのは、以下の3つの基本要素である。
①物理的時間=可能な限りの時間をそこに注ぎ込む
②質的向上=やる気と集中力を高める
③休息=頻繁に休憩時間を挟む
「時間」は技術習得のための強力な要素であるが、時間の質を高めれば、習得にかかる時間を短縮することができる。そのためにも休憩を適切に挟んで、やる気と集中力を高め、密度の高い勉強時間にすることが大切である。
これら3つの要素をバランスよく取り入れることで、勉強効率が格段にアップする。
高速学習の肝「画像記憶」
「高速学習」の肝は「画像記憶」である。画像記憶とは、写真を撮影するように情報を画像記憶として脳に定着させること。チラッと見ただけで記憶するためのフラッシュカード(イラストが描かれている瞬間記憶を鍛えるカード)と使ったトレーニングや、タキストコープ(一瞬だけスクリーンに画像を映し出す機器)による訓練などが効果的である。
本来、脳という器官は、文字で記憶するより、画像で記憶する方が向いている。学習は記憶の保持ができて初めて身についたと言える。調査では、子供が英単語を覚える時、言葉に映像を組み合わせると記憶の保持率が2倍に高まることが判明している。
記憶する際、主役はあくまでも画像であり、言葉は脇役に過ぎないということを頭に入れておき、文字記憶と画像記憶を連動させることが、効果的である。
やり遂げるための5つの要素
UCLA医学部教授のショーン・ヤング博士は、「やり遂げる力」をテーマに高速学習を実現するヒントを提唱している。ヤング教授は「やり遂げる力」を5つの要素に分類している。
①目標を小さく刻む
小さな目標ほど簡単になし遂げることができるので、モチベーションを上げるために不可欠な達成感や満足感をたくさん味わえることになる。これは高いモチベーションを維持して高速学習を可能にする大きな要素になる。
②重要性を認識する
同じ時間を使うなら、優先順位をつけて重要な作業に徹底して時間を注ぐ。優先順位の低い、やらなくてもいい作業に時間を使うことを徹底的になくすことが高速学習を実現するためには必須である。
③簡単にする
日常生活において主要な作業である「運動」「食事」「雑用」といった、生きていく上で不可欠な時間を効率化し、肝心の仕事や勉強に充てる時間を確保する。
④夢中になる
やるべき作業に没頭する。
⑤ルーティン化する
極力同じ時間に同じ場所で勉強や作業をすることにより、自動的にその作業に取り組める環境を作り出すことで、それぞれ高速学習を実現する。
これら5つの要素を取り入れることで、高速学習を実現する。
習慣化させるコツ
UCLA医学部における研究で、「目標達成にはドーパミンを分泌するための工夫が必須である」という結論が導き出された。ドーパミンは、集中力や学習能力を高めてくれる神経伝達物質である。ドーパミンの分泌量は、「報酬そのものの大きさではなく、その本人の期待値に対する大きさに比例して増える」ことがわかっている。
報酬が期待値を上回るとドーパミンは大量に分泌され、下回るとあまり分泌されない。つまり、小さい目標設定からスタートすることが、大きな目標達成の秘訣である。小さく始めて、それを習慣化させてしまうことが肝要である。
持続可能な行動曲線の上の領域の行動から始めることにより、その行動は簡単に習慣に落とし込むことができるようになる。習慣化できた上で、行動のレベルを上げれば、その行動は行動曲線の上に移動させることができる。
どんな分野においても、学習速度を高めてすごいスキルを身につけたかったら、とっかかりは小さな目標設定からスタートし、それをクリアしたら、やや実現が厳しいレベルの目標を設定し直す。そして、実際に行動を起こし、たくさんミスをして、それをフィードバックし、絶え間ない反復練習を繰り返す。これに勝る上達法はあまり見当たらない。