超加速経済アフリカ LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図

発刊
2021年5月28日
ページ数
256ページ
読了目安
332分
推薦ポイント 8P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

アフリカの時代がくる
人口が爆発的に増加しているアフリカの現状を紹介している一冊。貧しいイメージのあるアフリカだが、既にスマホも浸透し、最先端の技術を利用したサービスが利用されている。
今後、大きな経済発展が見込まれるアフリカを具体的な数字と、具体的な事例でリアルなアフリカを知ることができます。

最後の成長大陸アフリカ

アフリカ全体の経済規模(実質GDP)は、既に2兆4000億ドル、日本円で約250兆円。日本の経済規模が553兆円なので4割程度になる。
アフリカの特徴は年齢の圧倒的な若さ。中位年齢は、日本が48.4歳に対し、アフリカ全土では19.7歳。背景にあるのは、医療・衛生環境が整って乳幼児の死亡率が急速に下がったこと、人口を養える最低限の食料が確保できるようになったことが挙げられる。
アフリカの全人口は現在約13億人、2050年には約25億人になると予測されている。人口が最も多いナイジェリアは、2020年に2億人の人口が30年後には4億人近くに達しそうである。コンゴ共和国は8960万人の人口が30年後には1億9000万人、エチオピアで2億人、エジプトも1億5000万人になると予測されている。

日本をはるかに上回る人口の爆発と若さは、国家運営を適切に行えば、この先、人口ボーナスとして大きなパワーをもたらす可能性がある。一方で、適切な職が与えられなければ、大きな社会不安などに結びつく可能性がある。

都市化が始まり、これから大量の人が都市に出てくるようになる。ただ、今のアフリカの最大の課題の1つは「都市にそれだけの仕事があるか」ということである。ケニアでも大学に行けるのは1割ほど。大学に行っても、卒業後3年以内に就職できるのは半数程度。都市に出てくる多くの人は、日雇いなどのその日暮らしの仕事が中心となっており、圧倒的に仕事不足である。

 

アフリカはスマホが最も売れる地域に

アフリカ全体で見れば農村部は6割以上になり、電気が家に来ている方が少ない。しかし、アフリカの成人は全員と言っても過言ではないほどに、みんなスマホやケータイを既に持っている。充電は、小型のソーラーパネルを使ったり、村のキオスクの充電サービスを利用している。みんな通話やWhatsApp、フェイスブック、ゲームなどをしている。さらにスマホやケータイがお財布の代わりになっており、生活必需品になっている。

 

今、東アフリカでヒットしている商品の1つが「M-KOPA」。ソーラーパネルと充電池、LEDランプ、充電用ラジオなどがワンセットになった商品で約23000円。アフリカ人には高くて一括では買えないので、約3000円の頭金を払い、モバイルマネー(M-PESA)で1日約50円の毎日払いをして、1年半ほどで自分のものにする。

ケータイ端末は中古品が多く流通しており、ナイロビだとスマホの中古で3000円ぐらいからある。新品は3Gで4000円くらいから、4Gだと約1万円から。ほとんどはOPPOやファーウェイなど中国製スマホで、アップルのシェアは5%程度である。
近年は、スマホが世界で最も売れる地域になっており、年間1億台以上が売れる。中国やインドよりもアフリカの方が売れているのである。

 

アフリカは農村を中心に貧しい人が多いのは事実である。しかし、都市化は確実に進み、着実な経済発展を遂げている国は少なくない。中間層も生まれており、各家庭にも、先進国と同じ製品が入り始めている。

 

アフリカは先端技術が日本より浸透している

アフリカには、レガシー(既存インフラ・既得権益者・岩盤規制)が少ないため、先進技術が一足飛びに社会に広く浸透する。近年、研究開発は先進国で行い、商用サービスを最初にアフリカで行うというモデルがある。

 

  • babylin/babel :遠隔診断/AI診断サービス
    2019年末時点で累積240万人以上がこのサービスを使っている。babylin/babel が商用サービスを本格的にスタートさせたのはルワンダ。ルワンダには病院が多くなく、人口の8割がいる農村部には大きな病院がほとんどない。
    患者はまずケータイからAIのチャットボットで症状を入力すると、AIが症状を初期診断して返答する。これで解決できない場合、ナースが出て対応し、最後にドクターが出てきて、遠隔で診断を行う。費用は1回20円。

 

  • Zipline:ドローンを利用した血液や医薬品物流
    ドローンは固定翼型で、発射台から飛び出していくと自動で飛び、自動で戻ってくる。最高時速80km、ルワンダでは平均15分で病院に到着、パラシュートで血液や医薬品を落下させて自律運転で帰還する。約1.8kgまでの製品を一度に配送可能。

 

  • Butterfly:モバイル式超音波診断機
    最大の特徴は、スマホ直結型でクラウドにつなげ、遠隔診療やAI診察が可能なこと。操作の研修を受けた人が操作をして、そのデータをクラウドにアップ。それをAIや専門医がチェックし診察ができる。

 

  • Kobo360:Uber型物流
    荷主と中小トラック運送会社のマッチング・プラットフォーム。荷主と運送会社の、行き便や帰り便を、すべてネットで自動マッチングする。